2008年7月21日 の出来事 |
坂の上のゲラゲッツァ -オアハカ-
んんん・・・。
市場の食堂で注文した「モーレ・ネグロ」をスプーンですくって口へ運ぶと、何とも表現しがたい不思議な味わいが口の中に広がり、思わず弱った羊のような悲しい唸り声をあげてしまった。
はっきり言って、この「モーレ・ネグロ」は僕の口に合わなかった。
白いご飯とその上にかかってる黒いソースが、日本人的な感覚からすると、ものすごくありえない組み合わせだったからだ。まあ、もともと合わないってのがわかった上で注文したわけだから、自分が悪いといえばそれまでだけど。。
しかし三度の飯が何より好きな僕ら夫婦にとって、これはとっても残念な状況だった。なんとも悲しい白と黒のハーモニー。
「見た目はビーフシチューみたいなんだけどなあ・・・」
渋い表情でそんな言葉をボヤきながら、その黒いソースのかかったご飯を、ため息まじりで少しずつ口へ運ぶよりほかなかった。

そろそろお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この黒いソースの正体は一体何かというと・・・、
実はチョコレートなのです! オアハカ名物チョコレート!
で、真ん中の固まりはチキン。つまり、我々が口にしているのは、チョコレート・ライス・ウィズ・チキンというわけです。
英国紳士風に流暢な英語で声に出して発音すると、何となくしっくりくる「チョコレート・ライス・ウィズ・チキン」だけど、日本語にすると「チョコレートかけ鶏ご飯」になるわけで、当然しっくりくるわけがない。
普通のチョコレートとは違って、甘さはそれほど強くなくコクも深いので、食べれないってほどではないけども、でも僕らにはどうしても受け入れがたい味に思えた。
料理にコクを出すための隠し味としてチョコレートを入れたりすることはあるけど、この「モーレ・ネグロ」においては、そのコクが全く逃げも隠れもせず、モロに前面に出てきているように感じがした。
なぜなら、何度も言いますが、これは「チョコレートかけ鶏ご飯」だからです。
さすがのチョコレート好きの嫁も、これにはちょっとお手上げ状態・・・。
というわけで、この旅行中なかなか食べ残すということがなかった僕ら夫婦だけど、このモーレ・ネグロは、結局半分以上食べ残してしまった。
こんなに食べ残したのは、某国のあの酸っぱい主食以来かも。
でも地元の人たちは美味しそうに食べてるみたいだし、慣れると美味しく感じるのかもね。日本人が、おはぎを好むように。
市場内の商店には、こうした料理用と思われるチョコレートが味噌のように盛られてたり、岩石みたいな荒削り状態で置かれたりしてて、見てる分にはすごく美味しそうだった。まあ、昨日のホットチョコレートみたいな感じで甘い系の飲み物やデザートになれば、実際美味しいんだろうけど。
とりあえずチョコレート盛りだくさんの新鮮な光景でした。

さて本日は、メキシコ最大のお祭りゲラゲッツァの開催日。
朝からすでに町全体が盛り上がってるようで、市場の中も昨日より熱気と活気であふれかえっている。市場内を行き交う人たちの表情も一様に明るく、たいていの人が顔の中のどこかの部分に笑いを浮かべていた。
モーレ・ネグロの攻撃で若干げんなり状態だった僕らも、市場の中を歩いていたら、少しずつテンションが上がってきた。子供の頃、お祭りの日になるとやたらと心が躍っていた記憶があるけど、市場内の人々の様子を目にするにつけ、その子供時代のワクワク感に近いような状態に気持ちがたかぶっていったのだった。
うーん、祭りってやっぱりいいもんだねえ~。
昼間から缶ビールをグビグビあおりながら勢いよく市場から外に出た僕らは、民族衣装を身にまとった人たちの姿がポツポツ目につくオアハカの町の中を、気分よく大股で歩き始めたのだった。

ゲラゲッツァは、民族舞踏の祭典だ。
オアハカの各村から民族衣装をまとった踊り子たちが集まり、観客たちの前で各民族固有の伝統舞踊を披露するというこのお祭り、開催日は7月後半の2度の月曜日で、それぞれ午前・午後にメインイベントが開かれるとのこと(つまり計4回)。
今日はその1度目の月曜日にあたるのだが、すでに時計はお昼をまわっているので、もう午前の部は終わってしまったようだ。
まあ、お祭りを実際に見るよりもお祭り気分を味わうことがお祭りの醍醐味だと勝手に思いこんでいる僕らにとっては、午前の部が既に終わってようがどうでもいいことですが。
ただ、「せっかくなので」という言葉も結構好きな貧乏性の僕らは、やっぱ午後の部ぐらいは軽く見てみようかなという気持ちになり、喧騒の中をかき分けかき分け、その会場である通称・月曜日の丘、フォルティン丘へと向かって歩き始めたのでありました。せっかくなので。
手元に地図は無かったけど、フォルティン丘がどこにあるのかはすぐにわかった。
町の西側にある小高い丘の上から、沸き立つような音が、風とともに町の中に吹きつけてきていたからだ。
それはまぎれもなくお祭りの会場から響いてくる歓声だったわけで、丘の頂上にびっしりと敷き詰められたカラフルな米粒のようなものは、間違いなくお祭り会場を埋め尽くした観客たちだった。

丘の上を目指し、坂道を進んでいった。
オアハカの標高は1,550メートルと結構高いので、坂道は少ししんどい。しかもビールを飲んで若干フラフラ状態なので、かなり酸素が足りない感じがする。
そのため、とにかく前に進むことに集中して坂道を歩いていたのたが、歩き始めて十数分が経ったぐらいの頃、隣に嫁の姿が無いことにふと気がついた。
で、後ろを振り向くと、20メートルほど後方でうずくまっている嫁の姿が目に入った。
うちの嫁は「チョコレートを食べると昼寝したくなる病」という持病があるため、もしや路上で昼寝してしまったのかもと思ったが、どうやら本当に体調が悪くてうずくまっているようだ。
嫁のもとに駆け寄り、話を聞いてみるとお腹の具合がよろしくないらしい。もしかしたら、モーレ・ネグロがお腹に合わなかったのかも・・・。
しょうがないので、歩くのを一旦停止。
近くのお店に入って、お口直しのハンバーガーとか食べながら、しばらくゆっくり休憩することにしたのだった。

結局そこで1時間ぐらい休憩していたのだが、椅子に座ってダラーっとしていたら、なんとなく坂を上るのが面倒くさくなってきてしまった。
で、最終的にお祭りの見学はとりやめ。
嫁のお腹は回復したとはいえ、無理して坂を上ってもしょうがないしね。気分的には祭りをすでに満喫してるので、まあいいんじゃないでしょうか。
ちなみに、祭りの様子は↓のような感じだったみたいです。なかなか楽しそうですね。
かわりに他の名所を見て回ることにした。
まずは、オアハカ郊外のエルトゥーレという地域にあるトゥーレの木。教会の敷地内に生えてました。
どうやら世界最大の幹回りを誇る木らしい。
樹齢2000年を超えるこの老樹の幹回りは、なんと57.9メートル。まさに世界一の巨根!しかもすげーモサモサです。
でも、「このー木、なんの木♪」の木よりも小さい気がしたのは、テレビの見すぎかな・・・。

続いては、サントドミンゴ教会。
16世紀から100年もの歳月をかけて建造された聖堂で、メキシコバロックの代表建築。
内部の装飾はものすごくって、その豪華絢爛な感じに圧倒された。これほどの装飾は、本場のスペインにもそう無いんじゃないでしょうか。
これは一見の価値あり。


最後はやっぱり市場に戻って、バーベキュー屋台みたいなのがたくさんあるところで夕食。
あまりに煙がもくもく充満し過ぎてて、色んなものがよく見えなかったりしたけど、でも目の前で焼いてくれた肉はなかなか美味かった。あと、ネギも。
なんとなく「食ってるぞ!」って感じのする肉食系の夕食でした。
こちらも動画を。
そんな感じで、オアハカを大いに満喫。
気分的にも体的にもお腹いっぱいになった僕らは、夕食後バスターミナルへと向かい、次なる町サンクリストバル・デ・ラスカサスを目指して、夜行バスに飛び乗ったのだった。
さよなら、オアハカ。そして、チョコレート・ライス。
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