2007年10月31日 の出来事 |
マルチタレントのバブル -バラナシ-
バラナシ生活6日目。
今日は夜行列車でバラナシを発つ予定だ。
特にこの街で何かやったわけでも成し遂げたわけでもないが、でも何となく充実した日々を送ることができて満足している。
う~ん、なんていうんだろ。なんか表現できないけど、何となく充実していた気がするのだ。
それだけにこの街を出るのは寂しい気もするが、今後の予定も考えると、その名残惜しさを噛み殺して次の街へと進まねばならない。

まあそうは言っても、今日も夜まで特に何もすることがないため、昨日と同様「しゃん亭」へネットをしに行くことにした。
で、「しゃん亭」へ向かう途中、バブルに遭遇した!
このバブルという男、バラナシの路地裏に生息する客引きだ。
バラナシに来て2日目、僕らが宿探しをしているときに初めてヤツと出会った。
ペタッとした髪に微妙に伸びた襟足、それと薄ヒゲが特徴的なこの男は、怪しげな目をして「チープ・ホテル、チープ・ホテル・・・」と弱々しい声で僕らに語りかけてきたのだ。
もちろん存在自体を無視して、僕らはその後も宿探しを普通に続けたわけだが、30分ぐらい経ってもずっとうちらの後を着いてくる。
ウザくなってきた嫁が、英語で文句を言うが、そもそもコイツは英語がわからないらしく、例の怪しげな目をして黙りこむだけだった。
「英語もわからんのに、しつこく客引きするなよ・・・」とツッコミたくなる気持ちを抑えて、引き続き宿探しを続ける。
が、相変わらず後をつけてくるバブル。
いい加減、腹がたってきた嫁が「どっか行かないと、打つよ!!」とゲンコツを振りかざしながら大声で叫ぶと、さすがに鬼の形相に恐れをなしたのか、どこかへトボトボと消えていった。
「ふぅ、やっといなくなった」と安心して、新しく泊まることに決めた久美子ハウスへと向かう僕ら。
すると、その途中の路地から、またひょこっとバブルが顔をあらわした!

「コイツ、どこまで着いてくる気だ~!」と嫁のゲンコツが、バブルの体にめり込む!
すると「わざと着いてきたわけじゃないよ。偶然だよ、偶然・・・」みたいなジェスチャーをして敗走していった。
どうやら普通に偶然だったようだ。運の悪いヤツ・・・。
で、久美子ハウスに着くと、入口付近にまたバブルが!
なんなんだコイツは・・・。
嫁が、久美子ハウスのインド人従業員に、「コイツがしつこく客引きしてきて困ってる」みたいなことを言ったら、やたらと従業員に怒られるバブル。
小学校のいじめられっこみたいに「ごめん、ごめん、許して・・・」みたいな感じで弱々しいポーズをとるバブル。
しかし、そんな姿を見ていたら、どうやら嫁も彼のことが愛らしく感じてきたらしい。それ以来、路上で彼の姿を見るたびに「ハ~イ、バブル~!」みたいな感じで声をかけるようになってしまった。
それ以来、だいたい1日に1回は彼の姿を目撃していた。
懲りずに我々に対して「チープ・ホテル・・・」と声をかけてくる日もあれば、なぜかコンサートのビラを配っている日もあった。
ガンガーのボートの仲介をしているときもあれば、「ハッパ、ハシシ・・・」と小声で語りかけてくるときもあった。
それにしてもかなりのマルチタレントぶり。
でも、誰もコイツにはついていかないだろうなあ。だって怪しいもん・・・。

今日は、とろ~んとした目で「ハッパ買わないか・・・」みたいに手招きを続ける彼を路上に放置して、僕らは「しゃん亭」へと入っていった。
で、ネットに耽る。
相変わらずの高速回線で、ホームページを更新したり、調べ物をしたりしていたら、嫁が「ノリコさんがバラナシに来てるかも!」と言い出した。
中国の成都で知り合ったノリコさん。ドミトリーで同じ部屋だったこともあって仲良くなり(9/19のブログ参照)、その後もmixiで彼女の旅の模様をつづった日記を見ていたのだが、どうやら前回更新された日記の状況から見て、このバラナシにいるのではないかと予想されたのだ。
ノリコさんはバラナシには何回か来たことがあるらしいのだが、そういえば成都で話していたとき、久美子ハウスの隣の宿を薦められた記憶がある・・・。
というわけで、その宿に直撃!
強引に従業員から宿の名簿を見せてもらうと、やっぱりあった、ノリコさんの名前!
お~、こんな広い世界でビンゴするとは、旅人の磁力って何かすごい!
で、2階に上がって部屋のドアもノックする。
が、不在。残念。。
そこらへん適当に歩いてたら会うかな・・・。
というわけで、とりあえずガートの付近まで足を進める。
陽が落ちてきていたガートには、いつものように灯がともされ始めていた。そして、いつものようにたくさんの人々がガンガーに向かって座り込んだり佇んだりしていた。

この光景も見納めかあ・・・。
「お~い!」
ぼんやりとその様子を眺めていたら、横からリョウコ姐さんが声をかけてきた。
姐さんはさっきまでガートの対岸まで夕焼けを見にいっていたらしいのだが、その帰りでガートをブラブラしていたところだという。
で、話してたら、灯篭流しみたいな感じで、お花にロウソクの火を灯してガンガーに一緒に流そうよ、ということになった。
お~、いいねえ!
早速近くにいた灯篭売りから灯篭を買ってきて火をつける。
そして既に暗闇と同化し始めてきた青黒い色をしたガンガーにゆっくりと流した。
灯篭の火は、遠くへ流されていくにしたがって、ゆっくりとその光の力を弱めていき、そしていつしか見えなくなった。
光を失った灯篭はいつかガンガーの中へと沈み、このインドの大地の一部となっていくんだろうなあ・・・。

とまあ、感傷に浸らずにはいられない気分だったけど、そんなヒマは無いんだった。そうだ、そうだ、ノリコさんを探さねば。
姐さんと一旦バイバイして、ノリコさんを探す。
ちょうど夕食時だから、どっかのレストランにいるんじゃないだろうか、ということで、ツーリストがよく行きそうなモナリザ・レストランという所に顔を出してみる。
すると、なんと、奥のほうにノリコさんが座っていた!
お~、やっぱり旅人の磁力ってすごい!
1ヶ月半ぶりの再会に色々と旅話に花を咲かす。こうやって再会して旅話するのってのは、やはりいいもんだ。
しかし、列車の時間が迫っているため、じっくり話したい気持ちを抑えて、数十分で切り上げて部屋へと戻った。
うん、しかし会えてよかった。
部屋に戻ってから荷物をつめて出発の準備をし、久美子ハウス旧館の1階に行ってチェックアウトの手続きをする。
すると、久美子ハウスに泊まっていた女性陣が下まで見送りに降りて来てくれた。
いやあ、ありがとうございます。
そして、そこから女性陣による井戸端会議のようなものが始まり、ナゼか元看護婦さんと元針灸師さんによる、バックパックの持ち方講座&肩ベルト調整大会が始まった。
すごい勢いで肩ベルト調整を始める、お二人。なんかマネキン状態になっている嫁の姿が面白い。
彼女らが言うには、日本人は総じてバックパックの持ち方が悪いらしい。
で、調整してもらったら、たしかに肩の負担が減って軽くなった感じがした。おお、すごい。
女性陣皆で久美子さんと一緒に記念写真を撮り、そして姐さんと三人で久美子ハウスを後にした。
最後にまた楽しい思い出ができました。ほんとありがとうございました。

で、バラナシ駅へ向かおうと、いつもの小路を急いで歩いていたら、トコトコと見慣れた顔が近寄ってきた。
あーっ、バブルだ!!
またもや登場、バブル君。
急いでいた僕らは、「じゃあねえ」とだけ言ってサヨナラしたのだが、なんかしつこく着いてきて、あいかわらず「ハッパ、ハシシ・・・」と語りかけてくるバブル。
いやいや、もう発ちますんで我々。
無視してたら、どこまでも着いてきそうな感じだったので、「ノー、ノー!」と繰り返してたら、最後には「たのむから10ルピーくれ」と言ってきた。
物乞いまでやるとは、さすがマルチタレント・・・。
そんなバブルを振り切り、我々はバラナシ駅へと向かったのでした。
さようならバラナシ、またいつの日か・・・。


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