2007年12月03日 の出来事 |
イスラエル入国 -アンマン→エルサレム-
幼稚園生だったか小学生だったかの頃、ラクガキ帳に思いつく限りの色んな記号を書きまくっていたことがあった。
丸、三角、四角、十字架、三菱マーク、郵便局マーク、タイヤの車輪みたいなマーク・・・。
理由も無くいろんな記号を書きまくっていた。
とくかくラクガキ帳が記号であふれるのが嬉しかったのだろう、この世に存在する記号から、自ら創作したメチャクチャな幾何学的記号まで、とりあえずたくさん書いていたような気がする。
そんなとき、ふと、上向きの三角と下向きの三角を重ねると、星のような形になることを発見した。
5つの角がある星は見たこともあったし書いたこともあったのだが、6つの角を持つその星の形は、幼い頃の僕の目にとても新鮮に映った。
少し不思議で怪しげな感じのするマークだけど、なんとなく格好いい。
なんだか自分がその星を発見したような気分になって、ノート一杯にそのマークを書きながら無邪気にはしゃいでいた・・・。

キングフセイン橋の国境に降り立ち、風になびくイスラエルの国旗を眺めていたら、そんな幼い頃の思い出が蘇ってきた。
空が曇っているせいか、国旗に描かれたその星は、思ってたよりも鮮やかな青色をしているように見える。
「いよいよイスラエルだ・・・」
気を引き締め直して、国境施設の門をくぐる。
もともと、この旅の中でイスラエルには行くつもりはなかった。
「興味が無いから」ということでは全く無く、むしろ「是非とも行ってみたい」という国だったのだが、この国へ入ることによって生じるある問題を懸念していたのだ。
イスラエルの入出国スタンプ。
これがパスポートに押されてしまうと、それ以降、イスラム教国に入国拒否をくらってしまうそうなのだ。
アルジェリア、イラク、イエメン、サウジアラビア、シリア、スーダン、リビア、レバノンなどのイスラム教国へ行けなくなってしまう。
元々そんなに予定は立ててないこの旅だが、このスタンプのせいで旅のルートがネジレてしまったり、選択の幅が狭まってしまったりするのは嫌なので、当初「イスラエルはパス」って感じだったのだ。
けど、中国で出会った日本人旅行者から、
「キングフセイン橋というヨルダンとの国境から入出国すれば、パスポートにではなく、別紙にスタンプを押してもらうことができる」
という話を聞いて、行こうかなあという気になった。
そして、アンマンのコーダホテルで会った人の話を聞いたり、情報ノートに書かれた内容を見たりした結果、「最近はけっこう高い確率で別紙にスタンプを押してもらえる」ということがわかり、行くことを決意。
本日アンマンからセルビスに乗って、キングフセイン橋の国境に来たのだった。
聞いていたとおり、ヨルダン側の出国は楽勝だった。
一応、ヨルダンから出国したという記録も残るといけないので、「ノースタンプ、プリーズ」と出国管理官に告げると、笑顔で別紙に出国スタンプを押してくれた。
あまりのアッサリぶりに、パスポートの存在意義がものすごく軽いもののように思えてしまった・・・。

ヨルダン側の出国後は、バスに10分ほど揺られてイスラエル側国境までの数キロにわたる無国籍地帯を進んだ。
荒涼とした中東らしい景色が広がる中、銃を持った兵士の姿ももちろん目に入ってきた。
いつ誰が発砲してもおかしくないような、そんなピリピリした雰囲気に包まれた無国籍地帯に静かに流れる、小さなせせらぎのようなヨルダン川、そしてその上にかかるキングフセイン橋を渡り、ダビデの星はためくこのイスラエル側国境へと辿り着いた。

まず、大荷物であるバックパックを国境施設の入口で預ける(預けるというか厳重に中身をチェックされるんだろうけど)と、預り証代わりにパスポートにバーコードのシールを貼られた。
聞くところでは、このシールの跡が残ってるだけで入国拒否をしてしまうイスラム教国もあるらしい。
けっこう粘着力が強くて剥がすのが面倒くさそう。これってイスラエルの嫌がらせじゃないの?
あとでキレイに剥がさなきゃ・・・。
建物の中へと入ると、空港にあるようなベルトコンベヤーの手荷物検査機と、金属探知機的なゲートをくぐらされた。何回も何回も・・・。
で、それをやっと切り抜けたと思ったら、今度はなんか不思議な装置の中に立たされ、ブシュという音とともに空気のようなものを全身にかけられた。
X線とかそういうやつ!?
なんかわからんけど、何度もチェックを受けてる間、これだけ厳しいチェックをせざるをえないイスラエルって国の状況が、ちょっとずつ肌に伝わってくるようなそんな感じがした。
で、そういうチェック的なことをやっと終え、ついに入国手続きの場所へ行き着いた。
聞いていたとおり、化粧バッチリのイスラエルのオネエサマたちが入国管理官としてふんぞり返っていた。お~、たぶん僕より若いけどすげーエラそうだ。
さあここからが勝負!
いくらエラそうだからといって、腹立てたり、横柄な態度で接してはいけない。サディスティックな性格の彼女らに対しては「か弱い僕ちゃんを助けてください」的な態度でのぞむのが鉄則だ!
ふんぞり返っているオネエサマの所にうかがい、怯えたヤギのような目をして「ノースタンプ、プリーズ」とお願いする。
ネパールでお祭りのときに大量に殺されていた、あのヤギの表情を思い浮かべながら懸命に訴えかける。
すると、いくつかの質問が飛んできた。
「なぜスタンプ押されたらイヤなのか?」とか「どの地区に行くのか?」とか「どのホテルに泊まるのか?」とか「祖父の名前は何か?」とか。
まあだいたい想定していた通りの質問ばかり。情報ノート見て予習していた甲斐があった。やっぱり国境越えるのにも予習は大切だからね。
20分ほど怯えた目をしながら、そんな感じでやりとりを続けてたら、オネエサマも「まあブザマな姿のヤギだこと」と冷笑を浮かべながら別紙にスタンプを押してくれた。
お~、やったぞ!別紙スタンプゲット!
5時間ぐらいかかることもあると言われるこの手続きをこんな短時間で楽にパスしたぜ~!ヤギちゃん効果だね。
オネエサマのご機嫌を損なわないよう、音が出ないようにオナラを一発だけかませてから、逃げるように国境施設を後にした。

いやあ、ついに念願のイスラエル入国。どんな世界が広がってるんだろう・・・。
この日は、とりあえずエルサレムへ向かい、周りを軽く散策したぐらいで、一日を終えたのでした。

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