世界一周 かけあし夫婦旅行 - かけてこ

かけてこ ~世界一周かけあし夫婦旅行~

バックパック背負って世界に飛び出した夫婦の、かけあし世界一周の模様をつづったバックパッカー旅行記です ⇒サイト案内

2007年12月29日 の出来事

動くものはすべて -サラエボ-

北京、トリノ、アテネ、ソルトレークシティー、シドニー、長野、アトランタ、リレハンメル、アルベールビル、バルセロナ、カルガリー、ソウル、ロサンゼルス

途中で気づいた人がほとんどだと思うが、上記はオリンピック開催都市(夏季・冬季とも)を新しい順に並べたものだ。

では、ロサンゼルスの次に出てくる都市はどこか・・・?

朝、寒さに負けそうになりながらもなんとか布団から抜け出し、簡単に身支度を整えた後、外へと繰り出した。

向かった先は、旧オリンピックスタジアム。

・・・そう、ロサンゼルスの前、1984年にオリンピックが開催された都市は、他ならぬここサラエボだった。

共産圏として初のオリンピック。その事実は、ユーゴスラビア(当時)の首都サラエボが、その頃、ある程度の安定感と充実した設備、経済基盤を持った国家/都市であったということを証明していると言えるだろう。

しかし、オリンピック開催から10年もたたない1992年、血で血を洗うボスニア内戦が始まり、サラエボもその舞台となった。

激しい内戦で国民の5%にあたる20万もの人々が命を落とし、半数近くが難民・避難民になったと言われている。


痛々しい銃痕の残る街並みを通り抜けてたどり着いた旧オリンピックスタジアムは、真っ白な雪に包まれていた。

そして、その雪の中に無数の墓石が立ち並んでいた。

かつてオリンピックの会場として使われていたこのスタジアムは、現在、墓場として使用されている。

もちろんそこにあるのは、内戦で命を失った人々の墓だ。墓石のほとんどには内戦の行われた1992年や1993年といった年号が記されていた。

内戦時、運ぶ時間も埋める場所も無かった多くの遺体が、街の中心部にあるこのスタジアムに埋められ、自然とここが墓場と化していったという。

かつて聖火が灯されていたであろうタワーが、悲しげに墓場を見下ろしていた・・・。


第一次大戦のきっかけとなったサラエボ事件の起きた橋などを見学した後、トラムに乗ってこの街のメインロードを進む。

このメインロードは「スナイパー通り」と呼ばれている。

内戦時、道を通行する市民を無差別に狙って、セルビア兵による狙撃が絶え間なく行われたことからこんな名前が付けられたそうだ。

通りには銃で撃たれてボロボロになった廃墟のような建物が並ぶ。

当時、そこで生活している人々はこの道路を通らないわけにはいかず、命がけで道路を横断していたという。

「動くものはすべて狙撃される」、当時そんな通りで生活を送っていた人々の心境はどんなものだったのだろうか・・・。


旧市街のほうまで戻り、近くの市場をのぞいてみる。

野菜、果物、肉、穀物・・・、どこの国にもある普通の市場の姿がそこにはあり、市民の普通の生活がそこでは営まれていた。

この光景だけを見ていると、12年前に激しい内戦があったということをすっかり忘れてしまいそうだ。それは内戦から立ち直りを見せているこの都市を象徴するような光景にも思えた。

が、こうしたどこにでもある光景を見て、逆説的に、墓場よりも廃墟よりも生々しく内戦の恐ろしさを感じてしまった。

おそらく内戦が始まる前までは、今、目の前にあるのと同じような普通の市民の生活がこの街では営まれていたことだろう。オリンピックが開催されるぐらいだからもっとにぎやかだったかもしれない。

それが、どこかの拍子で歯車がちょっと狂ってしまい、何かのヒキガネがちょっと引かれただけで、脆くも崩れ去ってしまった。

ついこないだまで鼻歌を歌いながら市場へ普通に買い物に行っていたのに、道を歩いているだけで狙撃されるようになってしまった・・・。

そんな冗談みたいなことが現実に起きてしまう社会。そう思うと頭の中にリアルな恐怖感があふれてきた・・・。


かなり歩き回った後、夕方ごろに宿へ戻る。

ドブロブニク行きの夜行バスがあると思って(実際は無かった)、朝チェックアウトしてしまっていたので、もう一度チェックインするよう宿のスタッフに話しかける。

と、胡散臭い笑顔付きで「予約してないから15ユーロだ」という返事が返ってきた。

昨日は10ユーロで泊まれたのに「なんじゃそりゃあああ!!」とムショウに腹が立ち(そもそも昨日も予約なんてしてない)、絶対このインチキ宿には泊まらないことを決意。

寒い中、疲れた体を引きずって安い宿を探す。が、なかなか見つからない。やっぱりイバナもいない・・・。

なんとか二時間後に一部屋30ユーロの宿を発見。まあ値段はインチキ宿と変わらないけど、あの宿に泊まるぐらいだったら全然マシだ。

カップラーメンとシーチキンで夕食を済ませ、なんとなく悲しいサラエボの夜を過ごしたのでした・・・。



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