2008年1月 9日 の出来事 |
パチンコ屋と怪獣 -アテネ-
手元にある世界史の教科書に、以下のような文章が記載されていた。
「ミケーネ文明の滅亡後、長い混乱が続いたが、各地に分立したギリシア人は、前8世紀ころから、王や貴族のもとでアクロポリス(城山)とアゴラ(広場)を中心に集住(シノイキスモス)し、多数のポリスが成立した。」
― 山川出版社『詳説 世界史』
アクロポリスとアゴラ。
パッと聞いた感じ、田舎町にあるパチンコ屋と、弱そうなザコ怪獣の名前みたいに思えてしまうが、じつはこの2つ、歴史的に超重要かつ超有名な場所なのだ。
その証拠に、この2つの名は教科書上に太字で記され、その上から、黄色い蛍光ペン、さらに太い不細工な下線まで引かれ、これでもかってほどに強調されていた。
今日はそんなアクロポリスとアゴラへ観光に出かけることにした。
一日中宿にこもってネットをやっていたい気持ちを抑えて、朝から宿の外へと繰り出した。
それにしても今日は天気が良くて気持ちが良い。空がほんとに真っ青な色をしている。
チベットでも空がすごく青いと感じたが、それとはまた少し違った感じですごく青い。
チベットの空が痛いぐらいに青かったとすれば、ギリシャの空は爽やすぎるぐらいに青いという感じだろうか。まあなんともうまく表現できないが、とにかく青いのだ。
立体感のある白い雲の切れ端が所々目に入るが、それとのコントラストがまた空の鮮やかさを際立たせてていい感じだ。
風にはためくギリシャの国旗が目に入る。
青と白・・・。
もしかしたらギリシャの国旗って、空と雲を表してるのかもしれないな、とちょっと思った。

まずはアゴラへと向かった。
アゴラの入口で、アクロポリス等でも使える共通入場券を購入。嬉しいことに学割が効いて6ユーロで買うことができた。
ゴツゴツした石壁の土台、首や腕が折れてしまった石像、ドーリア式の石柱の残骸・・・。
古代の市民の生活の場であったアゴラには、そんな石造建築物が、草間からニョッキっと生えてるような感じでポツポツと中途半端に点在していた。
「これがあのアゴラか・・・」
憧れていたカッコイイ先輩が実は包茎だった、みたいなちょっと拍子抜け感を感じながら、サクサクッとアゴラを見て周った。
ていうか、さすがにここまで跡形が無いと、古代アテネ市民の生活はなかなかイメージできないな・・・。
まあ、想像通りといえば想像通りの荒廃っぷりでした。はい。

アゴラを後にし、アクロポリスへと続く坂道を上っていく。
途中、やたらと家屋の壁に描かれた落書きが目に入ってきた。どこの街でも見かけるような、スプレー缶で描かれた普通の落書き。
まあ別に遺跡自体に落書きしてるわけじゃないからいいんだけど、せっかく古代遺跡の街なんだから、もうちょっと趣向をこらした落書きをしてほしいもんだなあと勝手に思ってしまった。神話の登場人物とかね。
「バラナシの街角にベタ塗りされた下手クソなシヴァ神の落書きのほうが、百倍マシだよ」
そんなオヤジの小言みたいなことをブツブツ言いながら坂をしばらく上り続けると、20分ほどでアクロポリスの入口に到着した。
入口前の石段を一歩一歩踏みしめながら中に入ると、ドドーンとパルテノン神殿が目に飛び込んできた。
お~、これこれ!
これこそアテネのイメージって感じの大きな神殿が、ドッシリと青い空の下に根を下ろしていた。

こういうときこそ聖闘士星矢の曲を聴きたいものだが、残念ながらipodを忘れてきてしまった。まったく情けない・・・。
しかし、そんなミュージックが無くとも、やはりパルテノン神殿の持っているパワーは素晴らしく、圧倒的な存在感で僕らを魅了した!
工事中だったのは少し残念だったけど、しかし見れてよかったパルテノン神殿!
アクロポリスは城山と称されるだけあって、そこからの眺めも素晴らしかった。
パルテノン神殿のわきに立ち、眼下の景色を見渡す。青い空の下、アテネの街並みが広がる。
遺跡っぽいものも少し目に入ってはきたが、でもどちらかというと、目に映るのは洗練された現代都市アテネの姿だった。
が、今建っている丘の上にパルテノン神殿があるということが、不自然に感じられるような街並みではけっしてなかった。
歴史的建造物と調和してなさそうで実は調和している絶妙な景観。そのあたりが古代都市としての風格のなすところなのかもしれない。

いくつかの遺跡を見て周りながら坂を下る。
少し疲れたので街の中心部のほうまで地下鉄に乗って行き、「現代のアゴラ」と呼ばれるところへと向かう。
現代のアゴラ。名前はイカついけど、まあなんのことは無い普通の市場です。現代社会における市場(広場)。
活気のある市場の中には、鮮やかな色をした野菜や果物、肉や魚などの店が立ち並び、威勢のいい声が響いていた。
古代のアゴラと違って、かなりエネルギーがあふれてて面白かった。やはり市場というのはどこの国でも楽しいもんだね。

市場で買ってきたオリーブをつまみながら宿へと戻る。
「今日は一日中観光してたから歩き疲れちゃったわ」
同室のオーストラリア娘がニコヤカに言葉をかけてきた。
しかし、相変わらずこの娘の足はクサい・・・。一日中歩いてきただけあって昨日よりも強烈だ!
オリーブを食ってるのに、まるで納豆を食ってるような気分がする。
あまりのクサさに部屋に中にいられず、用も無いのに外出して夜のアテネの街を徘徊。
夜の人波をかきわけながら、「オリーブを食べるはしばらくやめておこう」と決意したそんな夜だった・・・。

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