2008年01月07日 の出来事 |
アテネを目指す! -オフリド→アテネ-
なかなか町の雰囲気がいいオフリドだが、この先のアフリカとかの予定を考えるとユッタリしているヒマは無い。
ということで、ここオフリドとも今日でお別れ。旅路を急ぐことにした。
予想以上に苦戦を強いられてきたこのバルカン半島南下作戦だが、作戦もかなりのオオヅメ、最終目的地アテネの後ろ姿がだいぶ視野に入ってきた。
バルカン半島は、色々と面倒くさいことやワケわからんことも多かったが、まあ苦しみながらもなんとかここまで来ることができた。
いつもなんとかなるとは思っているけど、まあ実際なんとかなるもんだ。
とりあえず無事に明日の朝までにアテネに着くことが目標。がんばるのであります。

朝、家を出る際、忍者ベンコに出くわした。
相変わらず元気そうな声で忍者トークをかましてきたが、「残念ながら今日オフリドを出るんだ」と伝えると、一瞬悲しそうな顔をした後、笑顔で「気をつけて」と言いながら握手を求めてきた。
やはり彼は悪い人ではないのだ。
握手を交わした後、「ひとつお願いがあるんだけど・・・」と申し訳なさそうにベンコが話を切り出してきた。
どうやら彼のお願いは「自分の名前を漢字で書いてほしい」ということのようだった。日本好きな彼らしいお願いだ。
そんなことはお安い御用だと言わんばかりに、いくつかの当て字を考えて、紙に書き記す。
弁戸、鞭己、遍個、勉呼・・・
10個ぐらいの漢字を書き並べて「この中から選んで」と彼に紙を渡した。
いつになく真剣な顔をしながら熟考するベンコ。彼の鼻の穴から鼻毛が数本出ているのが気になるが、かなり真剣な顔をしているので突っ込めない。
3分間ほど考えた末に、「やっぱりこれが一番クールだ」と言いながら彼が選びだしたのは次の漢字だった。
「便小」
う~ん、オレもそれが一番クールだと思うよ・・・。
さようなら、忍者便小・・・。

ベンコ家を出てオフリドのバスターミナルへと向かう。
バスターミナルの窓口のオバちゃんに「ここからギリシャ行きのバスは出てますか?」と尋ねてみる。
その質問が、馬券売り場で「サッカーのチケットは売ってますかね?」と聞くのと同じぐらい意味のないことだとはわかっていたのだが、ダメモトで一応聞いてみたのだった。
予想通り返ってきた答えは「ノー」。
国境近くのビトラという町までバスが出ているから、そこまで行ってそこから先は自分たちで調べたらと言われた。
国際バスなんてものはこの世に存在しないのよ、とでも言わんばかりの突き放し系の態度。
まあいつものパターンだけどね、はい。
ちょうど出発するところだったビトラ行きのバスに乗り込み、我々はオフリドの町を後にした。

バスは普通に快適に進み、1時間半ほどでビトラの町に到着した。
とりあえずバスを降りてから、周囲を見渡してみる。
何も無いな、この町・・・。
バスターミナルの窓口のネエチャンに「ここからギリシャ行きのバスは出てますか?」と再び尋ねてみる。
が、返ってきた答えはまたもや「ノー」だった。国境まではタクシーで行くしかないらしい。
バスぐらい無いのかねえ、まったく・・・。国境の町だよ、ここ。
「10ユーロで国境まで送ってやるよ」
窓口を離れると、何人かの胡散臭い白タクの運ちゃんたちが声をかけてきた。全員すごくガツガツしてて、かなりウザい。
「第一印象でウザいと感じたヤツは、根本的に相当ウザい」
こないだ誰かがそんなことを言っていたが、まあ確かにその通りかもしれない。こいつらも根本的に相当ウザそうだ。
シッシッと言いながら、ウザいヤツらを払いのけ、昼飯でも食べながら考えようと思い、バスターミナルの外へ出た。
が・・・、飯を食う店すらこの町には無かった。
正確に言うと、店はあるのだが、すべての店が「クリスマス休暇」のために閉まっていたのだった。
クリスマスからすでに2週間ぐらい経ってるんですけど・・・。
しょうがないので、適当に白タクをつかまえ、6ユーロまで値切って国境まで乗せていってもらうことにした。
3分ほどで白タクは国境に到着した。
ここでマケドニアの出国手続き。さようなら、マケドニア。お世話になりました。
そこから、小屋のようなショボい免税店を横目に見ながら5分ほど無国籍地帯を歩くと、ギリシャ側の国境に到着した。
ふう、ようやくここまでやってきたぜ!ギリシャ!

入国手続きは簡単に終わり、パスポートに見慣れたユーロのスタンプが追加された。
そう、ここからはもうユーロ圏なのだ。正真正銘のヨーロッパ。
・・・しかし、国境を出て目の前に広がってきたのは、正真正銘の超ど田舎風景だった。
「アテネまでどうやって行くんだろ・・・」
寂しい寂しい一本道にたたずみながら、若干途方に暮れる。

そこらへんにいたオッチャンが言うには、「ここから30キロぐらい離れたフローリナという町まで行けば、きっとアテネ行きのバスがあるはず」とのことだった。
当然ここからフローリナまでバスは走っておらず、タクシーで行くしかないそうだ。
が、ここにはタクシーの姿すら全く見当たらなかった。
そもそも、国境を出てからもう20分以上経過しているが、車の姿を全く見かけてないのだ。
30キロか・・・。
バックパック背負いながらそんな距離を歩けるだろうか・・・、でも前に進まないことにはねえ・・・、どっかの親切な人が助けてくれるかも・・・、途中でヘバったら今日は野宿かなあ・・・、この寒い中で野グソはイヤだなあ・・・、あー寿司食いてえ・・・。
我々二人以外は誰もいない一本道の上に立ち、色んな考えを頭の中で思い巡らせ、悟りを開いたような気分で最終的に次のような結論を出した。
「ヒッチハイクしながら歩こう」
そうと決まったからにはガンガン歩くぞ!
気合いを入れて、両足を一歩一歩前へと進める。
:
が、30分も経たないうちにすでに歩き疲れて足が棒のようになってしまった。倒れこむようにして道端に座り込む・・・。
まだ3キロも進んでないのにこのザマだ、まったく。
歩いている間に車が2台ほど横を通っていったが、停まってくれるような気配は全くなかった。
ギリシャに入ってから聴こうと思って、わざわざ「聖闘士星矢」の主題歌をipodに入れてきたのだが、全く聴く気になれない。
「コスモが全く感じられないよ・・・」
吐き捨てるようにそうつぶやくと、案の定、嫁に無視された。

ちょっと休憩した後、また道をトボトボと歩き進める。
相変わらずほとんど車は走ってない。野犬に吠えられはするけども、人の姿は全く見えない。
空も晴れてはいるが、さっきよりも少し暗くなってきたような気がする。夕暮れが近づいているのだろうか。
「まずいな、この寒い中で野宿かよ・・・」
そんな思いを胸にしまい込むようにして、一歩一歩無心で足を前に進める。
:
そんな感じで歩き始めてから1時間ほど経った頃だろうか、1台の車が国境のほうからこちらに向かって走ってきているのが見えた。
その真っ赤な乗用車は、前方から見ると、心なしかこちらを見て笑っているように見えた。フロントガラスが目で、サイドミラーが耳のように思えた。
「疲れて頭までおかしくなったかなあ」と自嘲的な笑みを顔に浮かべながらも、気合いを入れてプリッとした親指を車に向けて差し出す。
すると・・・
その赤いBMWはうちらの横を通り過ぎて30メートルほど行ったところで、ゆったりとその車体を道の端につけて停車した!
おーー!
かつてないほどの興奮に胸を詰まらせそうになりながら、車のほうへ走って駆け寄り、「フローリナの町まで乗せてってくれませんか?」と聞いてみる。
と、運転席に座っていた初老の紳士は、ニコッと微笑みながら「もちろん」と快く承諾してくれた。
おー、ペガサスファンタジー!
世の中、捨てたもんじゃないね。
その赤いBMWに乗り込みながら、大きくなったらこういう人になりたいな、と心から思った。

歩いているときは、全く幻のような存在だったフローリナの町であったが、車に乗ってたら30分もしないうちに到着してしまった。いやあ車って素晴らしいね。
しかも、運転席の紳士に「アテネに行く予定なんです」という話をしていたら、アテネ行きのバスが出ている場所まで乗せてってくれた。
わざわざ人に道を聞いたりしてまで送ってくれたのだ。なんと優しいお人!
こういう親切に触れると、その国の印象がガラッと変わってしまうから不思議なものだ。う~ん、ギリシャ最高!

フローリナ発アテネ行きの夜行バスは20時半に出発するようだった。明日の早朝にはアテネに着くらしい。
さすがユーロ圏らしく、バスも結構キレイで快適そうだ。
しかも学割がきいて、二人で計25ユーロも安くチケットをゲットすることができた。いやあ気分いいね。
ということで、バルカン半島南下作戦、なんとかならないかもと思ったりもしたけれど、やっぱりなんとかなりそうです。
よかった、よかった。

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