2008年01月21日 の出来事
2年ぶりの雨 -ルクソール-
夜行バスは朝9時過ぎにルクソールのバスターミナルに到着した。
ルクソールは、かつて古代エジプトの都市テーベとしてその名を知られていた町だ。
紀元前2000年頃にここに都が建造され、エジプト新王国時代にはラムセス2世やハトシェプスト女王、トトメス3世など、世界の歴史にその名をとどろかす有名人が数多く現れ、数多くの建造物を残した。
それらの遺跡は考古学的な価値も非常に高く、「古代都市テーベとその墓地遺跡」として世界遺産にも指定されている。
我々、遺跡が大好きってほどでもないのだが、「エジプトに来たからには、とりあえずルクソールぐらいは見ておかないと」というちょっと消極的な理由でここまでやってきたのでありました。
まあ、ルクソールぐらいはね。
まずは、バスターミナルからセルビスに乗って中心部のほうへと向かう。
ルクソールは観光地とはいえ、パッと見た感じ、カイロのような都会的な空気はほとんど感じられない町だった。
当然ダハブのようなリゾートってわけでもないし、これがエジプトの普通の町並みという感じなのかもしれない。なかなか悪くない雰囲気だ。

「チープ・ホテル?」
駅周辺をぶらついて宿探しをしていたら、客引きが声をかけてきた。
エジプトの客引きは、世界的にかなり評判が悪い。
インド、モロッコと並んで「世界三大ウザい国」といわれるエジプトだが、そのエジプトの客引きは、強引で、しつこくて、ガメついということで、数多くの日本人旅行者の悪評を買いまくっているのだった。
しかもここは観光地ルクソール。
ということで、結構身構えていた我々だったのだが、声をかけてきた客引きはそれほどまでウザい雰囲気をプンプンと醸しだしてはいなかった。
やたらとニヤニヤしながら、軽い口調で「チープ・ホテル?」と声をかけてくるだけだった。
意外な態度にちょっと拍子抜けしてしまったが、彼らが口にしている宿の名前は知っていたし、値段も想定内だったので、しばらく考えた後、彼らについて行くことに決めた。
まあニヤニヤしてるけど大丈夫だろう。
バックパックを背負ったまま、彼らのバイクの後ろに乗って宿へと向かう。
バイクを運転しながら、やたらと「アー・ユー・ハッピー?」と聞いてくる客引きの言動がちょっとしつこく感じたが、生活感あふれるエジプトの路地をバイクに乗って走るのはけっこう気持ちの良いものだった。

数分ほど走ってバイクは宿に到着した。
到着するなり、宿の装飾を見てちょっとビックリした。
宿中が、ボブ・マーリーであふれまくっているのだ!
ポスターや絵や写真はもちろん、ボブ・マーリーの描かれたバスタオルまで宿の中に飾ってあった。この徹底ぶりは、なかなかすごい!
さっき客引きが「ハッピー、ハッピー」と連発していた意味が、ちょっとわかったような気もした。

さて、とりあえず荷物を部屋に置いてから町へと繰り出す。
宿のある場所はナイル河をはさんで東側、人々の生活エリアもだいたいこちら側に集中している。西側は遺跡地帯だ。
東側は町自体そんなに大きくなくて、1時間ほど歩き周るとだいたいの感触がつかめたような気がした。
雰囲気は、到着時に感じた通り、やっぱりほどよくいい感じだった。

明日遺跡見学に行く予定なのだが、「西側の遺跡群はすごく広くて歩き疲れる」という話を聞いていたため、テキトウに散策を切り上げ、食事を取ってすぐに宿へと戻ることにした。
食事はピザとサラダ。なかなかの味だった。エジプトの飯はやっぱり美味い。
宿へ戻ると、急に外で雨が降り始めた。
灰色の雲が、乾燥した褐色の風景が広がるルクソールの町を包み込み、激しい雨が地面を打ちつけ始めた。
「この町に雨が降るのは2年ぶりだ」
雨の降りしきる外の様子をぼんやりと眺めていたら、ボブ・マーリーのTシャツを着た宿の従業員がゆっくりとした口調でそう語りかけてきた。
一瞬納得しかけたが、しかしいくら乾燥した土地とはいえ、2年ぶりってのは言い過ぎなんじゃないかと思い聞き返す。
「本当に!?」
すると、その従業員はニヤ~ッとしただけで、言葉も発さずにどこかへ立ち去っていってしまった。
よくわからんけど、なかなか面白い宿だ・・・。

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