2008年2月12日 の出来事 |
世界の共通項 -アルバミンチ-
今日は嫁が体調悪くてグッタリしてるようなので、一人でアルバミンチの町を散策することにした。
といっても特に何も目的は無いので、とりあえずブラブラ歩いていると、町の大通りの突き当たりで、小さな市(いち)が立っているのが目に入ってきた。
中古の傘やボロボロに使い古された古着、ヤギなどの家畜、プラスチックの洗面器(トイレ)、ブリキでできたベッドの骨組みなど、置いてあるのはどれも「いらねえ・・・」と思うようなものばかりだった。

まあ市の様子を見てるのはなかなか楽しいんだけど、欲しいものが全然無いので早々に退散。
近くにレンタサイクルの店があったので、自転車を借りて丘の上のほうへ向かうことにした。
宿の従業員の話によると、どうやら丘を上った先に集落みたいなのがあるらしい。
・・・が、丘を上っている途中、その先の集落まで行く意味がよくわからなくなり、断念。
丘からの景色もそんなに素晴らしいってほどじゃないし、自転車もボロくてこぎにくいし、相変わらずガキたちはうるさいし、なんかやる気が起きない・・・。

結局1時間ほどで自転車を返却してしまった。
うーん・・・、それにしてもこの町には「見たい」とか「行きたい」とか思うような、モノや場所がなかなか見当たらない。
もしかすると、そういうのを探そうという気が起きないだけなのかもしれないが、少なくともそうさせてしまうような空気がこの町には漂っている気がした。
アルバミンチのことを、誰かが「エチオピアの中では、まあまあ大きな主要都市のひとつ」とか言っていたが、どう見てもそんな風には見えなかった。
日本で「まあまあ大きな主要都市」といえば福岡とか北九州、百歩譲っても熊本あたりになるだろうと思う。
が、この町には、コッテリした豚骨ラーメンがあるわけでも無いし、せんば山にタヌキがいるわけでもないし、チンチン鳴らしながら走る路面電車があるわけでももちろん無かった。
かわりに、コッテリしたアボガドジュースが喫茶店に並び、ペリカンみたいな大きな鳥が空を飛び、荷台に人を乗せたトラックが砂ぼこりと黒い排気ガスを舞い上げながら走っているのだった。

やることがなくてヒマだったので、おそらくこの町で唯一と思われるネットカフェを見つけ、店の中に入る。
しかし、ダルそうな表情を浮かべた店員は、ドアを開けて入ってきた僕のことを不思議そうに眺めながら、ただ首を横に振り続けるだけだった。
それもそのはずだ。停電中だから、パソコンもネット回線も使えるわけがない。
というか、一日の半分ぐらいが停電してる町なのに、ネットカフェが存在しているってこと自体に、ある意味、新鮮さを感じてしまった。
「思えば遠くに来たもんだなあ・・・」
溜息まじりの低い声を漏らしながら、ネットカフェから砂の舞う表通りに出ると、今度はガキたちの甲高い声が僕に向かって矢のように飛んできた。
「チャイナ、チャイナ!」
こういう風に呼ばれるのはもう何回目だろう。今日だけで色んなガキから、少なくとも100回は言われているような気がする。
別に中国人だと思われてもいいんだけど、その甲高い声、ほんと疲れるわ・・・。
「アイ・アム・チャイニーズ!」と言いながら、「カーッ、ペッ」とタンを吐いてやろうかとも思ったが、なんだか疲れてそんな気も起きなかった。

この疲れた感じ、あまりよろしくないな・・・。
ちょっと休息が必要だと感じ、通りに面した売店のイスに腰掛けてジュースでも飲むことにした。
ジュースは何があんの?と店員に聞くと、うちの店にはジュースは3種類しか置いてないとの返事が返ってきた。
コカ・コーラとファンタと、そしてペプシ・コーラ。どうしてもコーラは2種類必要らしい・・・。
コカ・コーラを注文する。
おなじみのビンに入ったその黒い飲み物を口に含むと、甘みのきいた炭酸が、砂ぼこりのせいでスッキリしない喉に染み渡って、不思議に気持ちがよかった。
冷えてないけど、やっぱりコカ・コーラの味だ。
これだけは、福岡も北九州も熊本もアルバミンチもどこでも同じ味なんだなと思うと、なんだか笑えてきて、元気が戻ってきたような気がした。

夜は、シャシャマネで出会った天然ドレッドのシンペイ君と偶然再会し、3人で夕食を一緒に食べた後、彼の部屋で談笑。
原っぱに面したベランダから、電気の消えた真っ暗闇のアルバミンチの町に向かって「アフリカに来たんだ~!」なんてことを、ちょっと青春っぽく3人で叫びながら、「まあでも、やっぱりエチオピアって楽しいね」という結論にいたった、そんな夜だったのでした。
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