2008年3月 9日 の出来事 |
想定外 -カピリムポシ→リビングストン-
朝10時過ぎに列車は終点、ニュー・カピリムポシ駅へ到着した。
何が「ニュー」なのかよくわからないが、とりあえずここが終点だ。
ダルエスサラームからここまで36時間の移動だと聞いていたが、結局42時間ほどかかったようだ。
まあ6時間ぐらいの遅れであれば、想定内といえば想定内だけど。

ザンジバルからの夜行フェリーでの移動後に、タンザン鉄道での移動が続いたため、ここ4日間で0泊4日という変な状況となっている。
あのザンジバルのビーチ以来、宿に泊まってないのだ。
とりあえず体も髪の毛もベトベト状態なので、早くシャワーを浴びたいところだが、今日もまだ移動は続く。
このカピリムポシという何も無いマニアックな町から、ザンビアの首都ルサカまで移動するのだ。
駅を降りると、タンザン鉄道から降りた乗客を待ってましたとばかりに、ルサカ行きのバスの客引きが近寄ってきた。
ルサカまでどうやったら行けるのか見当がついてなかったので、この客引きはちょっと有り難かった。
普段は基本的に客引きはウザいだけなのだが、こういうシチュエーションでの客引きはウザ嬉しい。
料金35,000クワチャ(約1,050円)を支払い、そのバスに乗り込む。
車体の後ろに「埼玉」と書かれたそのバスは、乗客と荷物を車内に満杯に詰め込んで、すぐに首都ルサカへ向かって走り出した。

じつをいうと、ルサカにも別に用事は無い。
あくまで僕らの次の目的地は、ビクトリアの滝を望むザンビア一番の観光地リビングストンであり、ルサカは経由地でしかなかった。
ルサカ自体、見所も無さそうだし、治安も悪そうだし。
なので、ルサカへ向かう車中、これからどうすべきか色々と悩んだ。
ルサカで1泊すべきか、それとも今日ルサカで乗り換えてリビングストンまで向かうかべきか。
カピリムポシからルサカまで4時間、ルサカからリビングストンまでは7時間らしいので、今日中に行けないこともない。でも、さすがに移動が続いてるから疲れてるしなあ・・・。
というわけで、車中で4時間悩み続けたけど、結局、結論は出ず。
とりあえず、埼玉バスは定刻どおりにルサカのバスターミナルへと到着した。

バスターミナルで昼飯を食べながら考える。
ターミナル内にはたくさんバスが停まっているが、その中にはリビングストン行きのバスもあるようだ。
エアコンとかもちゃんと効いてそうな大型バスもあれば、ポンコツそうな小型バスもあった。
大型バスはすぐにでも出発しそうだが、75,000クワチャ(約2,250円)とちょっと高め。小型バスは出発時間はわからないが、60,000クワチャ(約1,800円)と少し安い。
僕らの前には、またもや3つの選択肢が並んでいた。
①ルサカで1泊するか
②大型バスに乗って快適にリビングストンへ行くか
③小型バスに乗って安くリビングストンへ行くか
かなり悩んだのだが、昼飯に出てきた主食のンシマをモグモグと食べてたら、ちょっと元気が出てきたので、勢いで「小型バスに乗るぞ!」と決意してしまったのでありました。

60,000クワチャを支払い、小型バスに乗り込む。乗客は僕ら以外ほとんどおらず、車内はガラガラ。
バスの乗務員によると「もうすぐ出発する」とのことだったので、疲れた体を横に倒して出発までの時間を待った。
・・・が、1時間ほど待ってもバスは一向に出発する気配を見せなかった。
なんで出発しないんだろ!?
乗務員に聞くと、アッサリと次のような答えが返ってきた。
「満席になるまで出発しないよ」
なーにー!!
まだ1割ぐらいしか席が埋まってないんですけど・・・。
しょうがないので、ひたすら席が埋まっていくのを待つ。
1人客が増えるたびに「ヨシ!」と空元気に振舞う我々夫婦。だけども席は全然埋まらない。。
一体このバスは何時に出発するんだろうか。夕方に出発したら、リビングストンに着くのは深夜になりそうなんだけど・・・。

しかし、最終的にバスが出発したのは夕方6時だった。
結局、全く動かないバスの中で4時間ほど待ち続け、席がきっちり全て埋まってからバスは走り出したのだった。
ちなみに、待ってる間に何回も小便したくなったので、バスターミナルの有料トイレを4回ほど利用しました。アホくさ・・・。

小型バスはリビングストンを目指して進み始めたのだが、出発すると間もなく日が暮れ始めた。
しかも、バスは途中で人を乗せたり降ろしたりしながらチンタラ進むので、すげー遅い。なんなの、この遅さ!
やがて、深い闇があたりを包み始めた。
それとともに、得体の知れない動物や虫の鳴き声が窓の外に響き始め、空には満天の星が美しく輝き始めた。
「暗闇は終わりを意味するのではなく、始まりを意味する」と誰か有名な人が言っていたような気がするが、その言葉をふと思い出すような、そんなシチュエーションだった。
しかし、僕らの気持ちは深く深く沈んでいくばかりだった。
体はダルいし、髪の毛はベトベトするし、リビングストンに着くのはいつになるかわかんないし、着いても深夜だから危なそうだし、美味い夕食にもありつけなさそうだし、車内はなにか豚小屋みたいなニオイがするし・・・。
そんな沈みきった僕らの気持ちを全くムシするかのように、バスはチンタラと真っ暗闇をノロノロ走り続け、そして、ある場所で急にスピードを落として停車した。
時計を見ると深夜12時。
雰囲気からしてここがリビングストンではゼッタイに無さそうだ。しかもまだ出発してから6時間しか経ってないので、あのノロマなスピードで到着できるわけがない。
不思議に思って、前方を注目していたら、バスのドライバーが乗客全員に向かってこう話し始めた。
「今日は終了。オレは寝るので、また明日の朝からスタートね」
車内では乗客によるブーイングの嵐が巻き起こったが、ドライバーは全く気にとめもせず、座席に体を預けてイビキをかきながら熟睡し始めた。
おいおい・・・。
ブーイングする気力も無い僕らは、これ以上ないぐらいの脱力感に体を支配されながら、「これで0泊5日か・・・」と力なく苦笑いするしかなかった。
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