2008年3月14日 の出来事 |
ちゃんとした国 -スワコプムンド-
ヒッチハイクした巨大貨物トラックは、ピーンと伸びた真っ直ぐなナミビアの一本道を、西に向かって今日も朝から順調に快走していた。

昨日の夜は10時ぐらいで消灯だったのだが、数日前のあのモロンゴ的なバスとは比較にならないほど、トラックの中は静かで寝心地が良く、グッスリと穏やかに眠ることができた。
おかげで、今日は朝6時の起床にもかかわらず、すげー元気で目もパッチリ。ラジオ体操でもやりたい気分だ。
道の脇にあった小店で、朝食を買う。
ナミビアで食べる初めてのまともな食事だったが、これがまた美味かった。
何の変哲もない、ただの肉のせご飯なのだが、何か文明的な味わいを感じるのだ。
「アフリカの食事は不味い」というのが旅行者の間では定説となっているが、この肉のせご飯を一口食べてみて、「ナミビアだったらこの定説をひっくり返してくれるかも」とちょっと期待を感じてしまった。
まあとりあえず、これから先、ナミビアの飯が楽しみだ。

僕らがナミビアにやってきたのは、世界最古の砂漠「ナミブ砂漠」をこの目で見てみたいという理由からだった。
もちろんナミビアが、この「アフリカ大陸なんとなく縦断」の最終地である南アフリカへの通り道にあったというのも、理由としてはある。
が、旅行者の誰もが「素晴らしかった」と絶賛する美しいナミブ砂漠の姿を一目見たいという気持ちが、ナミビアへ向かおうとしていた僕らの背中を後押したのは間違いなかった。
「この後、ナミブ砂漠を見に行くんだ」
ご機嫌に鼻歌を歌ってるドライバーのオヤジに向かってそう話しかけると、オヤジは鼻歌みたいなメロディアスなイントネーションで、こう返事を返してきた。
「じゃあ、ウィントフックじゃなくてスワコプムンドに行ったら?」
なんでも、スワコプムンドという町のほうが、砂漠へ行くには色々と便利らしいのだ。
しかもナミビアの中ではそこそこ都会なので、レンタカー会社やツアー会社もたくさんあるし、そこでレンタカーを借りてウィントフックで乗り捨てなんてこともできるので、「イッツ・ベリーグッドね」ということなのだ。
ちなみに、このオヤジは語尾によく「ね」を付けるクセがあるのだが、なぜそんな使い方をするのかは不明。まあどうでもいいけど。
というわけで、オヤジの提案を採択し、目的地をウィントフックからスワコプムンドへ変更。
レッツ・ゴーね!

地図を見せてもらうと、スワコプムンドは南大西洋に面した港町だった。つまりアフリカの西の端にある町のようだ。
よくよく考えてみると、ザンジバルが東の端だったから、スワコプムンドに到着すればアフリカ大陸を東の端から西の端へと横断したことになる。
比較的横幅の狭いアフリカ南部とはいえ、かなり斜め(南西方向)に向かって移動しているから、けっこうな距離であることであることはたしかだ。
いやあ、ダテに0泊5日とか移動してたわけじゃないね。
とりあえず今日中にスワコプムンドに着くのが目標。がんばるのであります。

オチワロンゴという町で僕らはトラックを降りた。
オヤジはこれから別の方角へ進んでいくそうなのだが、スワコプムンドへ行くには、このオチワロンゴから乗り合いワゴンに乗っていくのがベストらしいのだ。
オヤジに礼を言って、トラックを後にする。
結局20時間ぐらいトラックに乗ってたけど、とっても快適な移動、そして楽しいオヤジでした。
「グッド・ラックね」
そう言いながら、オヤジは笑顔で僕らに手を振り、またエンジンをかけてどこかへと走り去っていった。

トラックを降りてすぐの所に、乗り合いワゴンの乗場はあった。
スワコプムンド方面へ向かうワゴンを探し出したところ、あと1時間ほど後に出発するとのこと。
それまでヒマなので、道をはさんで向いにあった大型スーパーで買物でもすることにした。
それにしても、ナミビアという国は予想をはるかに上回る「ちゃんとした国」だ。
何も無い国とはいえ、道路もしっかり整備されているし、建物の外装もキレイで塗装なども丁寧に施されている。
お店で売ってるほとんどのモノに値札がついているし、人々も比較的穏やかでガツガツしていない。
物価は少し高いとはいえ、スーパーの品揃えも充実しており、アフリカじゃないどこかの先進国で買物をしているような気分になった。
嫁によると「アメリカの田舎町みたい」とのこと。
ん~、アメリカは行った事ないけど、なんとなくわかる気がする。

買物をした後に乗り合いワゴンに乗り込むと、黒人のドライバーが、キチンと丁寧に客それぞれの行き先を確認し、革張りのキチンとしたノートに、キチンとした綺麗な字でその情報を書き記していた。
すげー!
こんなキチンとぶりは、アフリカでは初めて。3日間乗ったタンザン鉄道よりも、数倍キチンとしてる。
予定通りの時間に、乗り合いワゴンはキチンと出発。
ひたすらまっすぐなナミビアの一本道を、常時130キロぐらいのスピードでワゴンはガンガン進んでいったのだった。

しかしそれだけスピードを出してるにもかかわらず、スワコプムンドに到着したときには夜の8時を回っていた。
5時間ほど乗っていたことになるから、単純に考えてもオチワロンゴの町から500キロ以上は離れていたことになる。
トラックのオヤジは「オチワロンゴ、スワコプムンド、ベリーニアね」と言っていたが、ナミビア人の「近い」という感覚が、距離にすると500キロぐらいだということがこれで判明した。
スワコプムンドの町は都会だと聞いていたが、窓の外は真っ暗で街灯もあまり無さそうだ。
人通りもほとんどなく、建物と建物の間隔も広すぎるため、家々の明かりも点々としており、町が全体的に暗い。
ん~、目星をつけている宿はあるのだが、住所しか知らないので、どこかで適当に降ろされたら、けっこうヤバそう。一応アフリカなので、治安的にも心配だし。
すると、ワゴンのドライバーが声をかけてきた。
「スワコプムンドのどこまで行くんだい?」
住所を書いた紙を渡すと、ドライバーは他の乗客と道を確認しながら熱心にその宿を探し始めてくれた。
しかも、わざわざ警察にいって道を確認するというキチンとぶり。
そして最終的に、目的の宿の目の前まで送ってくれたのでした。
いやあ、ナミビア人って素晴らしい!
宿はドミトリーも満室だったが、キャンプサイトが空いているということでテントを張って寝ることに。
地面はちょっと硬いけど、でもとりあえず寝床が確保できてよかった。
アフリカ大陸、図らずもこれにて東西横断完了でございます。やったね!
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