世界一周 かけあし夫婦旅行 - かけてこ

かけてこ ~世界一周かけあし夫婦旅行~

バックパック背負って世界に飛び出した夫婦の、かけあし世界一周の模様をつづったバックパッカー旅行記です ⇒サイト案内

2008年3月30日 の出来事

世界の犯罪首都 -ヨハネスブルグ-

窓の外に近代的な高層ビル群の姿が見えてきた。

時計を見ると、午後2時前。

ケープタウンからバスで20時間ほどと聞いているから、時間的に考えてもあれがヨハネスブルグの町であることは間違い無さそうだ。

空が曇っているせいか、それとも僕の頭の中に横たわるネガティブな先入観のせいか、窓の外に広がる町は、まるで灰色のコンクリートの上に薄く描かれたモノクロの絵のように、生気が無くとても無機質なもののように感じられた。

ほどなくしてバスは、パークステーションと呼ばれるヨハネスブルグのバスターミナルへと到着した。

バスを降り、側面のトランクからバックパックを受け取った後、嫁の手を引き、パークステーションの建物のほうへと向かう。

バスと建物の間は10メートルも離れていないが、僕らはまるでシェルターにでも逃げ込む避難者のように、脇目もふらず急ぎ足で建物へと駆け込んでいった。

「世界の犯罪首都」

この町に付けられたその呼称は、旅先で会った旅行者からの話、ネット上にあふれる様々な情報、ガイドブックに掲載されている説明、そういったものから総合的に判断するに、決して大げさな表現ではないのだろうと思う。

実際この町では、まるでウソみたいに殺人、強盗、強姦、カージャックなどの凶悪犯罪が毎日多発しており、町の中にはウソのように銃を持った犯罪者がたくさんあふれているのだ。

先ほど見えた高層ビルの建つ中心部などは、あまりの治安の悪さに無法地帯のゴーストタウンになっているほど。

世界中に危険だと言われる町はいくつもあるけれど、その中でもこの町だけは本当に「別格」なのだろうと思う。

パークステーションの建物内は、意外にもたくさんの人たちであふれかえっていた。

だが、南アフリカの人口のうち1割程度を占めているはずの白人の姿は、少なくともこの建物内には1人も見当たらなかった。

白人たちの手によって富と資本が集められ、近代的な町並みが築き上げられたと言われるヨハネスブルグだが、今ではもう完全に黒人たちの町となってしまっているようだ。


予約していた宿に公衆電話から連絡を入れ、ここまで迎えに来てくれるようにお願いする。

ヨハネスブルグの宿は、どこでもだいたい無料のピックアップ・サービスを行っている。電話1本かければ、車で迎えに来てくれるのだ。

町を歩いてたら犯罪に遭わないほうが珍しいと言われるこの町では、それぐらいのサービスをやってないと宿に客が来ないのかもしれない。

電話をかけた後、ちょっと一息ついて周囲をじっくり見回してみると、この建物内に、同じような格好をした人がやたらたくさんいることに気が付いた。

よく見ると、彼らは警察だった。

あまりに多すぎて、どれぐらいいるのかはハッキリわからないが、だいたい5メートル毎に1人立っているような感じだ。

アパルトヘイトという人種差別の廃絶と、それがもたらしたこの現状・・・。

それが良いことなのか悪いことなのか、ただの旅行者である僕らにはわからないし判断のしようもないのだけれど、少なくとも目の前に広がるこの光景に、ものすごく歪な印象を受けたのはたしかだった。

でもまあ、こんだけ警察がいりゃ安全だろうとタカをくくり、建物内をウロチョロしながら写真撮影。

車が来るまでヒマだしね。

だけど、カメラを構えて建物内の様子をパシャパシャ撮っていたら、1分もしないうちに、後ろから低い声で「ストップ!」と声がかかった。

一瞬ドキッとして後ろを振り返ると、そこには黒いスーツを着た大柄な黒人男性が立っていた。

厳つい顔をしたその男は、僕の目を見ながら、落ち着いた口調でこう語りかけてきたのだった。

「危険なので写真を撮るのはやめなさい。そしてウロウロしないこと。絶対に1人でこの建物の外に出てはいけません。死にたくなければ、私の言うことに従いなさい。」

そう言うと、彼はスーツの内ポケットからトランシーバーのようなものを取り出して、それで誰かと連絡を取りあいながらどこかへと去っていった。

どうやら覆面警察だったようだ。

これだけ制服を着た警察がたくさんいるというのに、覆面警察までいるとは・・・。

しかも「死にたくなければ」って、やっぱヨハネスブルグこわ。。

宿のピックアップ車は、電話してから40分後ぐらいにようやくパークステーションへとやってきた。

結構待たされたけど、でもまあこれでとりあえず一安心だ。

建物内まで迎えに来てくれた運転手についていき、駐車場に停まっていた車にそそくさと乗り込むと、車はすぐにエンジン音を響かせながら走り出し、人の気配のほとんどしない薄暗い雰囲気漂う町並みをスイスイと通り抜けていった。

途中、信号がいくつかあった。

が、そのほとんどはハッキリいって全く機能していなかった。

どの車も信号が赤だろうが構わず交差点を突き進んでいくのだ。

不思議そうにその様子を眺める僕らに、運転手はフッと笑いながらこう語りかけるのだった。

「赤信号で止まると、カージャックされちゃうからね」

車は人通りの無い市街地を通り過ぎると、郊外にあるその宿へ向かって、だだっ広いハイウェイを快適に駆け抜けていったのだった。



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