2008年4月 6日 の出来事 |
神の国と犬 -カサブランカ→マラケシュ-
朝10時、宿をチェックアウトして、すぐ近くのバスターミナルへと歩いて向かう。
カサブランカには2泊3日と短い滞在だったけど、もともと目的があって来た町でもなかったので、これで十分満足。
美味しい魚も食べられたし、ブラブラとノンビリ観光もできたし、モロッコの雰囲気もなんとなく味わうことができたし、まあこれぐらいでちょうど良いんじゃないでしょうか。

今日はここカサブランカから、バスに乗ってモロッコの古都マラケシュへと向かう予定だ。
マラケシュ。
なんとなく親しみやすそうな感じのする名前だけど、実際はベルベル語で「神の国」の意味。とても崇高で格式高い町なのだ。
しかも、マラケシュ→マラカスュ→マラッカスゥ→モロッカスゥ→モロッコみたいな感じで、モロッコという国名の語源にもなったとのこと。
発音的にちょっと無理がありそうだけど、Wikipediaにもそう書いてあるのでたぶん本当なのでしょう。まあ途中の変遷は僕の想像ですけど。
かつてはムラービト朝、ムワッヒド朝などイスラム王朝の首都として栄えたこの町は、イスラム文化・学術の中心地、またモロッコの一大商業都市としてその名を響かせ、今日にいたるまで千年にわたる長い歴史を刻み続けてきた。
旧市街には趣き深い町並みが広がっているだけでなく、「毎日が祝日」と言われるほど元気でエネルギッシュな雰囲気があふれているそうなので、かなり楽しみだ!
というわけで、バスターミナルに早く着すぎてしまった僕らは、また魚市場で昼飯食ったり、ミントティー飲んでゆっくり時間をつぶしたりしながら、3時間ほど出発を待ち続け、お昼過ぎになってようやくマラケシュ行きのバスにテンション高めで乗り込んだのだった。

バスはヨーロッパでも走っているユーロラインの車両のようで、揺れも少なくとても快適だった。
窓の外には、旅情をそそるようなモロッコの原風景が広がる。
モロッコらしい茶色い感じの風景が中心ではあったが、時おり、緑深い草木の姿や、咲いたばかりの淡い色した花の姿も目に入ってきた。
つい最近まで旅をしていた南半球では全く考えることがなかったが、よくよく考えてみると今は4月、北半球では春の季節だ。
モロッコの乾いた大地は、日本のソメイヨシノみたいにドドーンと圧倒的な季節感を押し出してくる感じではなかったが、それでも「いま、春なんだな」ということをジンワリ感じさせるには十分なほどの姿で、ひかえめに春という季節を僕らに伝えてきたのだった。
いやあ、春はやっぱりいいもんですねえ。
まあそんな情緒的な気分に浸ったりもしたけど、ほとんどの時間は車内でグッスリ睡眠。
空が暗くなりはじめた夕方5時半ぐらいになって、バスは神の国マラケシュのバスターミナルへと到着したのだった。

まずは、メディナと呼ばれる旧市街を目指す。
マラケシュといえば旧市街。観光スポットはそこにほとんど集中している、というか、旧市街自体がメインの観光スポットなのだ。
タクシーはバスターミナルにたくさん停まっていたが、とりあえず周囲を歩き回って旧市街のほうへと向かう市バスが走っていないか探す。
それにしても、このバスターミナルはよくわからん場所に位置している。手元にある地図を見ても、ここがどこなのかサッパリわからない。
地図が間違ってるのかもしれないけど、とにかくこのターミナルがビミョウな場所にあるってことはたしかだった。
嫁を置いて、市バスを探すために1人でターミナルの周辺をブラブラ。
と、ある家屋の前でタムロしている野良犬の群れを発見した。
・・・旅先でもっとも怖い動物、野良犬。
ライオンとか熊とかも怖いのはたしかだけど、その頻出率を考えると野良犬ほど怖い動物は他にいないだろう。
なぜなら、やつらは「狂犬病」という殺人ウィルスをその体の中に潜伏させている可能性が高いからだ。
狂犬病は、主に犬に噛まれることで人間にも感染するウィルスなのだが、感染して発病した場合の死亡率は、ほぼ100%。発病したけど助かったという人は、今まで世界中でたった6人しかしないそうだ。
もちろん予防接種を打っておけば噛まれても問題ないのだが、残念ながらワクチン不足とかで、日本で予防接種を受けることができなかった。
というわけで、恐怖の野良犬軍団が目の前に現れたわけなのだが、やつらの様子を見てると、そんなに凶暴そうな感じもしないし、ホノボノと寝そべったりしてて、それはそれで良い絵になっていた。
「やっぱり動物は心を和ませてくれるねえ」
そんな思いを抱きながら、せっかくなのでその様子を写真に収めようと思い、カメラを構えてカシャっとシャッターを切った瞬間・・・
ワン、ワワン、ワン、ワワン、ワワン、ワン!!!
と、猛烈な勢いで犬たちが僕を咆え始め、さっきまでのホノボノ感は一瞬にしてトゲトゲ感へと豹変し、全ての犬たちが立ち上り、僕のほうに向かって鬼のように走ってきた!
「ヤベー!!!」
恐怖の叫びをあげながら、必死に逃げまくる。
全力疾走で20秒ぐらい走り続けるが、全く動きを止める素振りもなく、ものすごい勢いで追いかけてくる犬軍団。なんだコイツら~!!
このまま逃げてても追いかけられるだけだと思い、とっさに近くに落ちていた木の棒を拾ってムチのようにベチベチと地面に叩きつける。
そして「オイ、お前らどっか行けよ!!」と日本語でヤンキーっぽく絶叫。
しばらくの間、犬軍団と僕との睨み合い、そして咆え合いが続いた。
僕の頭の中では、「チャーラ、チャチャラチャー」というドラクエの戦闘シーンの音楽が流れていたが、装備している武器は道で拾った木の棒のみ。アリアハンの武器屋に5ゴールドとかで売ってる、ひのきのぼうよりショボそうだ。
しかし、僕の必死の形相に恐れをなしたのか、それともそのヘッピリ腰ぶりに呆れ果てたのか、1分間ほどその状態が続いた後、犬たちは「もういいや」って感じでクールな表情しながらその場をゆっくりと去っていったのだった。
あー、怖かった。。
この旅の中で、一番オシッコが漏れそうなひと時でした・・・。

結局、ターミナルから10分ぐらい歩いたところにあった鉄道駅で、ようやく旧市街行きの市バスを発見。
それに乗り込み、城壁に囲まれた旧市街の入口へ。
市バスを降りた後、野良犬に出会わないことを切に願いながら、薄暗い小路を恐る恐る歩き回り、なんとか目的の宿を見つけ出してチェックイン。
あー、無事に宿にたどりつけてよかった・・・。
明日からは気を取り直して、この神の国マラケシュの観光を楽しみたいと思います。

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