2008年4月20日 の出来事 |
海と坂 -リスボン-
今日は締め出しをくらう前に、早々と宿をチェックアウト。
昼になると使えなくなるアホみたいなカードキーをフロントに叩き返し、「はいサヨナラ」と言いながら、ドアを開けて外へ出て行った。やっとオサラバだ。
しかし外はあいにくの雨模様。
目的の宿まではここから少し距離があるので、地下鉄に乗るため、すぐ近くの交差点にある地下鉄駅へと向かった。
が、なぜか地下鉄の入口にはシャッターが降ろされていて、中に入れなくなっていた。昨日までは開いてたのに・・・。
「まさか日曜日は休み!?」と不思議に思ってたら、大通りをダッシュで駆け抜けていく、ランニングシャツ姿の数名の男性の姿が目に入ってきた。
その様子から察するに、どうやら今日はリスボンの町でマラソン大会が行われているようだ。
ということは、地下鉄が閉鎖されてるのは、もしかして走者が地下鉄に乗ってズルするのを防ぐため・・・!?

結局、地下鉄閉鎖の理由はよくわからなかったが、どうにかがんばって目的の宿へと到着。
グラナダで泊まった宿の姉妹店みたいなのだが、中に入ると、予想以上にキチンとした宿でビックリした。
調理道具の充実した広々としたキッチン、テレビやオーディオなど色んなものが備わったユッタリ感満点の開放感あふれる共有スペース、スピードの速い快適な無線LAN、親切丁寧な従業員とオシャレな内装、もうどれを取っても言うこと無しだ。
昨日まで泊まっていたあのウンコみたいな宿と同じ料金というのが信じられないぐらい、ちゃんとした素晴らしい宿だった。
もちろん、お昼の締め出しルールも無し。当たり前だけど。
チェックインした後、とりあえずキッチンで自炊し、キレイなテーブルの上にお皿を並べて昼飯。
外も晴れてきたようだし、なんだかやっとリスボンに来たっていう実感がわいてきた!

今日も特にこれといって予定はないので、とりあえず昼飯を食べた後、外へ散策しにいった。
イベリア半島西端の小国ポルトガル。
大西洋と大国スペインに挟まれたこの国が、歴史の中で輝き始めたのは、15世紀に入ってからのことだった。
大航海時代、その先陣を切って未知の大海原へと船を進め、ヨーロッパ初の海外進出を果たしたのは、他ならぬポルトガルであった。
そしてその出発点となったここリスボンは、大航海によってもたらされた富により繁栄を極め、世界貿易の中心地となっていった。
宿のすぐ近くの見晴台からは、大西洋へと注ぎ込む美しいテージョ川の流れを見渡すことができた。
バルトロメウ・ディアスもヴァスコ・ダ・ガマも、この町のこの川から、広大な海、広大な世界へと船を進めていったのだ。あの喜望峰への到達も、インド航路の発見も、全てのスタートはここからだった。
今ではもう大航海時代ほどの影響力を持つ国ではなくなってしまったポルトガルだが、目の前に広がる風景には、かつての栄華を物語るような、余裕というか懐の広さというか、そういうフワッとした面影が今でも残っているような、そんな気がした。

「7つの丘の都」とも称されるこのリスボンには、その名のとおり坂がとてもたくさん存在していた。
町のいたるところに急な坂や階段があり、起伏に富んだこの町の地形をこれでもかというぐらいに訴えかけてきた。
どこに行っても、坂、坂、坂。
ただそれだけだったら、普通は「坂って嫌いだからもう歩きたくない」という思考回路に陥ってしまうことだろう。
が、この町のそれは、「ついつい歩きたくなってしまう」、そんな魅力を持った坂だった。
何というか、言い表しようのない情緒や趣や味わいが、にじみ出るようにあふれていた。
その感覚は、レトロ感あふれる黄色いケーブルカーによって助長されているのかもしれないし、ボコボコした不ぞろいの石畳の道によって演出されているのかもしれないが、しかし、これほど坂が美しいと思った町は、これまで世界を旅してきて他になかったのは確かだった。
そして、これほど歩きたいと思わせるような坂に出会ったのも初めてだった。
なんかタモリみたいなことを言ってるけど、どちらかというと、この町の坂にあふれている雰囲気はジブリ的だった。
そんな坂を歩きながら、この町に来てよかったなあと、ジンワリそう思った。

散歩から帰ってきて夕食を取った後は、ベッドの上にゴローッと寝そべりながら、気分よくインターネット。
パソコンの画面に映し出される世界中の色んな情報、色んな画像を眺めながら、「これも大航海時代の人たちの功績のおかげかな」などと思ったり思わなかったりしつつ、夜遅くまでネットの世界に入り浸ったのでありました。
![]() |



comments