2008年4月27日 の出来事 |
美術館な町 -マドリッド⇔トレド-
今日は日曜日。
朝ちょっと早めに起きて外へ出てみると、予想通り、宿周辺にはシャッターが閉まりまくりの閑散とした光景が広がっていた。
正月に田舎の実家に帰って近所を歩き回ったときに感じるようなヒッソリヒソヒソ感が、普通の日曜日の朝っぱらからここには充満していた。
スペインには「小売店は日曜日は年間12回しか営業してはいけない」という法律があるらしく、そのために日曜日は基本的に店がどこもオープンしてないそうだ。
しかし平日だって、昼間はシエスタ(お昼寝タイム)で店を閉めてるっていうのにねえ。。
ちなみにお隣の国フランスでは、「スペインを見習って、日曜日も年間12回ぐらいは営業できるようにするべきだ」という議論が盛り上がってるらしい。
勤勉なアジア人からすると、どんだけ休んでるんだよって感じかもしれないけど、まあところ変われば生活様式も変わるということなんでしょうかね・・・。

そんな日曜だけど、美術館は休まず営業しているとのこと。
しかも、マドリッドにはソフィアとプラドという世界的に有名な美術館があり、日曜日はその両者ともになんと入場無料で入れるそうなのだ。
これはぜひとも行かねば!
ということで、無料という言葉に弱い我々は、美術に対して別に造詣が深いわけでもなんでもないくせに、テンション高めで地下鉄に乗り、美術館のある町の中心部のほうへ向かったのでありました。
が・・・、
到着してみると、ソフィア王妃芸術センターは入口前に数百メートルの長蛇の列、プラド美術館は無料になるのが夕方5時から、ということでさっきまで高かったテンションが一気に下落。。
う~ん・・・。
しかし、そんな傷心気味の僕らの気持ちを再び元気づけてくれたのは、またしてもあいつだった。
そう、生ハム。
日曜日も営業中だった美術館付近のハム屋で、鮮やかなピンク色をしたハモン・セラーノを買って口にすると、その濃厚で深みのある味わいが口の中いっぱいに広がっていき、「今日も一日がんばるぞ!」という気合いを復活させてくれたのでした。

ということで、生ハム効果でバッチリ復活した我々、気を取り直して日帰りでトレドの町へ観光に行くことにした。
要塞都市トレド。
マドリッド近郊にあるこの町は、中世スペインにおける政治・経済・文化の中心として大いに繁栄した、歴史に名を残す有名な古都だ。
西ゴート王国の首都であったトレドは、当時、カトリックの大司教座の置かれた町として、宗教面においても確固たる地位を築き上げ、中心部には壮麗で美しい巨大な大聖堂も建造された。
しかし大航海時代になると、その地位は一変した。
内陸にあったこの町は、貿易拠点としては不向きだったため、主役の座を港町セビリアにあけわたすこととなり、自らは衰退の一途をたどっていくことになったのだった。
以来、トレドの町並みは大きく変わることなく、「16世紀で歩みを止めた町」として現在ではスペインの観光名所となっており、世界遺産の町として観光客を数多くひきつけている。
マドリッドのターミナルから、そんなトレド行きのバスに乗り込むと、バスは気だるい昼下がりの日差しを浴びながら、日曜日のスペインの町並みをスイスイと走りぬけていき、僕らにうたた寝るほどの余裕も与えずに、あっという間の1時間でトレドの町へと到着したのだった。

バスターミナルから歩いて旧市街へと向かう。
トレドの旧市街は、三方を川に囲まれた標高約500メートルの高台にある。
坂道を歩きながら見上げると、それはまさに難攻不落の天然の要塞といった感じに見えた。
キリスト教徒によるレコンキスタの際、イスラム支配のこの町を陥落させるのに7年もの年月を費やしたと言われているが、それも納得だ。
坂道を上りきって門をくぐり、旧市街の中へと入り、地図もガイドブックも持ってなかったので、特にあてもなくブラブラと歩き回った。
外から見ると「要塞」という言葉がとてもピッタリなこの町だが、その要塞の中に入ると、そこには様々な情緒があり、趣があり、歴史の深みが漂っていた。

一言でいうと、トレドはとても美しかった。
が、その美しさは、これまでスペインで見てきた、グラナダやコルドバ、セビリア、バルセロナといった町とはまた違った、独特の魅力を秘めた美しさのように思えた。
なんというか、この町はどちらかというと「町」というよりも「美術館」みたいな感じだった。
要塞の中に存在する、家々や小路、広場や聖堂、坂道や石段、そういった町並みそのものが、その美術館の中の美しい展示物だった。
それは良い意味で、時代遅れな町ということでもあった。
かつて栄華を極めたこの要塞都市は、過去に築かれたその美しい景観、中世の面影を今も変わらず残し続け、現代都市としての役割を果たすよりも、そうした時代遅れな過去の産物を損なうことなく未来へ引き継いでいくことに自らの役割を見出しているような、そんな町のように思えた。

トレドの観光を終えてマドリッドへ戻ると、ちょうどプラド美術館が無料時間帯に入ったところだった。
というわけで、お金を一銭も払うことなく入場~!
さすがは、スペインを代表する美術館なだけあって、ベラスケスやゴヤ、エル・グレコらの有名な絵画を目にすることができて、かなり見ごたえがあって素晴らしかった。これがタダなのだから、かなり得した気分だ。
でも、あまりに広すぎて歩き疲れたけどね・・・。
ソフィア王妃芸術センターのほうは、残念ながらすでに営業時間が終わっており、入ることができなかった。
どっちみち疲れてたのでまあいいや。明日また見に行こう。
再び生ハムを買って嫁と二人でムシャムシャと食べながら、日曜日のヒッソリとしたマドリッドの町を早足で歩き帰路へとついたのでありました。

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