2008年5月 3日 の出来事 |
ブラジルのイメージ -サンパウロ-
今日は南米に入って、はじめての晴天。
南半球は今は秋ぐらいの時期のはずだが、青い空から降り注ぐ太陽の光がとっても暖かくて、半袖でも外を出歩けそうなぐらいの陽気だ。
気分が良いので、赤い鳥居の立っている大阪橋を朝から何度も往復しながら、リベルダージの日本人街を歩き回った。

サンパウロは南半球最大の都市と言われている。
その人口は1千万人以上。ムンバイ、カラチ、デリーに次ぐ、世界第4位の人口を抱える大都市だ。
午前中かなり歩き回ってリベルダージの雰囲気を満喫したので、午後からはサンパウロのセントロ(中心部)へ向かい、その都会的な空気を楽しむことにした。
今日の夜にはこの町を離れるつもりなので、それまでに町の色んな側面を見ておきたいなあと思って。
地下鉄に乗って、この町の中心にあるパウリスタ通りへ行くと、道の両側に林立する無数の巨大なビルが目に入ってきた。
ここはサンパウロで一番のビジネス街なだけあって、銀行や商社等がたくさんオフィスを構えているそうだが、その高層ビルが立ち並ぶ町並みは壮観だった。
驚くほど近代的な雰囲気あふれる景観だった。

「んー、ブラジルってこんなにすごいんだ・・・」
しかし、なんだか僕はブラジルという国を勘違いしていたようだ。
これまでブラジルといえば、どちらかというと、荒削りな発展途上国みたいなイメージが強かった。
アマゾンには人の手が入っていない広大な未開の地が広がり、都市部には貧困と犯罪が蔓延し、子供たちは裸足の足でボロボロのボールを蹴りながら路上でサッカーに明け暮れ、そこら中で陽気なブラジリアンたちが音楽に合わせて腰を振りながら四六時中踊っている、そんなイメージが僕の頭のどこかに少なからず定着していた。
しかしこのサンパウロの中心部に広がる都会的風景、モダンで垢抜けた町並みを眺めていたら、そんなことが丸っきりデタラメのように思えてきてしまった。
路上生活者や物乞いの姿もそこまで見かけることがないし、物価も日本とそう変わりない。スーツをビシッと身にまとったビジネスマンが通りを颯爽と闊歩しているかと思えば、モデルのように美しいセレブ風な女性がお尻をプリプリさせながらセクシーにハイヒールを鳴らしながら歩いている。
さながら、普通の先進国の都会のようだった。
人々の顔にも切羽詰った感じはあまり無く、先進国特有の「ゆとりある表情」が人々の顔にも見受けられるような気がした。
中国における上海のように、ここが広大な領土の中の局所的・例外的な一部であり、同じ国でも地域によって景観が全く異なり、都市部と地方、表に見えている世界と裏の世界とで、その様相が変わってくるということは十分にわかっているつもりだ。
がしかし、このパウリスタ通りに広がる景色が、僕の中にあったブラジルのイメージを、ものの見事に壊してくれたというのは事実であり、ブラジルという国のとらえどころの無さや多面性を、よりリアルに感じさせてくれたのも事実だった。
ちなみに、サンパウロは個人所有のヘリコプターとヘリポートの数が世界一多い都市らしい。
うーん、納得。

世界一周航空券の予約変更と、トラベラーズチェックの現金化というのが、もともとセントロまで来た目的のひとつだったのだが、土曜日ということで、航空会社のオフィスもアメックスのオフィスも閉まっており、結局それらの目的は全く達成できず。
リオでもできなかったし、ここでもできなかったし、次なる都会ブエノスアイレスに望みを託すしかないかな。。
しかし、日曜日は一日中休むくせに、大都会なんだから土曜日ぐらいちょっとは働いてくれよ・・・。
リベルダージに戻って、タコ焼きを食べながら再び軽く散策。
週末ということもあって、何かの催し物が開催されており、町は午前中にも増して大いに賑わいをみせていた。
駅付近には色んな種類の露店が立ち並び、日本の縁日のような光景が広がっていた。

「やっぱこの日本的な感じっていいねえ・・・」
嫁とそんな言葉を交わしながら、何だかちょこっと日本に帰りたくなってきている自分に気が付いた。
この旅自体はものすごく楽しいし、これまでの人生で味わったことがないほど充実した時間が送れてるし、何年間もずっと旅していられたらなあとは思うのだけれども、そうは言っても、やはり日本のことが少し恋しく感じるのは確かだった。
日本の空気、日本の景色、日本の風土、日本の文化、日本の優しさ、そういったものを体が何となく欲しているような気がする。
上京して東京が好きになった人でも、たまに実家に帰りたくなることがあるように、旅がいくら好きでたまらなくても、長いこと離れていたら日本という国にちょっとは帰りたくなってしまうのかもしれない。
まあともかく、自分が日本人であり、そして日本のことが好きなんだという、ものすごく当たり前のようなことを、このリベルダージの町を歩いてみて、改めて思い知らされたような気がしたのだった。
「じゃあ、元気で。気をつけてね」
少し不思議なイントネーションの日本語でそう言いながら、日系2世の荒木のオバチャンは僕らを温かく送り出してくれた。
たった2泊だけだったけど、すごく長いことここにいたような気がする。
それがなぜかはよくわからないけど、でもこのリベルダージがとても居心地の良い場所だったというのはたしかだった。そして少なからず名残惜しさを感じるのもたしかだった。
何十年後になるかわからないけど、いつの日かまたこの町に戻って来れたらいいな。
そんなことを考えながら、ボロボロの看板が架けられたペンション荒木を後にし、僕らはバックパックを背負ってバスターミナルのほうへと向かったのだった。

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