2008年5月 6日 の出来事 |
農場見学 -イグアス移住区-
イグアス移住区では、ほとんどの農地で「不耕起栽培」と呼ばれる農業手法が採り入れられている。
農業については全くの素人のため詳しいことはよくわからないが、Wikipediaによると、不耕起栽培とは「水田や畑を耕さないまま農作物を栽培する農法」らしい。
土壌流亡の抑制、土壌微生物の増加、耕起・整地作業の省略など多くのメリットをもたらすこの不耕地栽培は、イグアス移住区の農業を革新的に発展させ、この赤土地帯を豊かな穀倉地帯へと変えたのだそうだ。

今日はそんなイグアスの不耕地栽培の農場を見学させてもらった。
ペンション園田のスタッフが、現地の農家の人にたのんでセッティングしてくれたのだ。
もともとこの地の農業に興味を持っていたので、昼過ぎから数時間参加し、農家の方の案内で私有農地を車に乗って見せてもらったのだった。
貨物トラックのように巨大なコンバイン、様々な品種改良や栽培技術の改善が試みられていた農業試験場、そしてものすごく広大で肥沃な農地・・・。
数時間の間に色々なものを見せたもらったのだが、目の前に広がる色んなものがなんだかすごく新鮮に映った。

僕は熊本の出身なのだが、城下町で生まれ育ったため、幼い頃から農地というのをほとんど見たことがなかった。
クラスメートにも農家の子供は1人もいなかったし、農作業というものもやったことがなかった(逆に上京してすぐに住み始めた東京の小平のほうが、田畑を目にすることが多かった)。
ということで、農業というものを身近に感じることのない中で半生を過ごしてきたわけだが、しかしそうしたことを差し引いても、このイグアスで行われている農業は、驚異的なほどスケールのデカいものに感じられた。
この地における1農家あたりの平均耕作面積は、なんと250ヘクタール!
東京ドーム50個以上が入るほどの広さだ。
ちなみに、北海道の平均が17.5ヘクタールほどなので、それに比べると15倍近く広いことになる。

さらに、不耕地栽培によってこの地で育てられた大豆の収穫量は、1ヘクタールあたり3.3トンと、世界トップクラスの水準なのだそうだ。
そんな超広大な農地に、大豆をはじめとする農作物がどこまでも生い茂り、それらをゴツくてデカい農業機材で豪快に刈り取っている光景は、ほんと圧倒的に壮大だった。
明らかに、今まで目にしたことの無いような眺めだった。
この日本から遠く離れたパラグアイの地で、同じ日本人の血を引く人たちが、こんなにもスケールの大きなことをやってのけてることに、なんだかすごく誇らしい思いがした。

イグアス入植15年を記念した作られた「イグアス賛歌」には、以下の様な歌詞がつけられている。
大いなる 希望に燃えて
我等きたれり 南米パラグアイ
共に築かん ふるさとイグアスを
今ぞ ためさん我等が力
おゝフロンティア
おゝ おゝ フロンティア
「フロンティア」と言うと聞こえは良いが、実際はそれはものすごく鬱蒼と生い茂る深い原生林のジャングルだったことだろうと思う。
それらを切り開き、現在の姿にもっていくまでの間には、もう筆舌に尽くし難いほどの苦難の道のりがあったことだろう。
実際、1980年代に不耕起栽培というものに出会うまで、イグアスでは帰国者が相次ぐなどほんとに厳しい状況が続いていたそうだ。
遠く離れた地球の裏側の「フロンティア」を切り開き、そこに「ふるさと」を築き上げ、そして不耕起栽培という未知の手法を採り入れながら、この圧倒的な農業形態を作り上げたこの地の人々に対して、今日の農場見学を経て、改めて深い尊敬の念を抱いた。
農場見学を終えた後、別れ際に農家の方が、次のような言葉をかけてくれた。
「夢を持ちなさいよ、夢を!」
日本で聞いたら、とてもクサくて苦笑してしまいそうな言葉だったが、イグアスの路上で聞いたその言葉は、とても素直に心地よく僕の耳に響いてきたのだった。

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