世界一周 かけあし夫婦旅行 - かけてこ

かけてこ ~世界一周かけあし夫婦旅行~

バックパック背負って世界に飛び出した夫婦の、かけあし世界一周の模様をつづったバックパッカー旅行記です ⇒サイト案内

2008年5月26日 の出来事

新しい世界(1) -ウユニ塩湖ツアー-

「あ、うん。まあ、大丈夫・・・」

ワゴンの助手席に座っているマサに「なんか調子悪そうだね?」と声をかけると、そんな感じの力無い返事がかえってきた。

いつものように、無駄にテンションの高いリアクションが返ってくることを期待していただけに、この弱々しい返事には少し面食らってしまった。

虚ろな様子でグッタリと体を傾けている姿を見ると、どうやら本当に調子が悪いようだ。もうすでに高山病の症状が現れ始めたのだろうか・・・。

屋根の上にたくさんの荷物を載せた僕らのワゴンは、そんなマサの調子の悪さを完全無視するかのように、ガンガン高度をあげながら、人の気配の全くしない不毛な無国籍地帯をボリビア国境へと向かって進んでいったのだった。

ツアーは早朝のまだ少し薄暗い時間帯に、サン・ペドロ・デ・アタカマの町をスタートした。

このツアー1日目は、まずチリを出国してボリビアへ入国、その後いくつかの湖や間欠泉などを巡りながら砂漠の中を走り抜け、「赤い湖」と呼ばれるコロラダ湖を目指すという流れになっている。

コロラダ湖畔には宿があり、そこで1泊目は過ごすらしいのだが、聞くところによるとコロラダ湖の標高はなんと4,200メートル以上!

そんな標高の高いところでゆったり眠ることができるのかよくわからんけど、とりあえずまだ序盤の序盤、出発して1~2時間ぐらいのボリビアにも入国してない時点で、マサはすでにグッタリ状態になってしまっていたのだった。

この先、大丈夫だろうか・・・。

チリ側の国境から約40キロ続いた無国籍地帯を走り抜け、ワゴンはボリビア側の国境へとたどりついた。

国境といっても、荒野に打ち捨てられた小屋のようなイミグレと、意味の無いしょぼい手作り踏切みたいなのが置いてあるだけの、なんとも寂しい関所だ。

ボリビアの国旗がパタパタはためいてなかったら、普通に公衆便所と間違ってしまいそうだ。

そんな便所のようなイミグレに入り、適当そうな入国管理官にパスポートスタンプを押してもらって、無事ボリビアへと入国した。懸念していた賄賂も要求されず、一安心。

さて、ボリビア。

思い入れが深い国なだけに、この先の旅路が非常に楽しみなのだが、しかしとりあえずここは寒い!

高地のせいか、このボリビア国境付近は異様に寒くって、車の外に立っていると体の震えが止まらなかった。さっきまで半ソデ半ズボンでチョコパイをかじっていた別のツアーの欧米人も、髪を振り乱しながら、あわてて長ソデ長ズボンにはきかえている。

しかしこんなに寒いにもかかわらず、なぜかここで朝食タイムとなった。

しかも車の外で・・・。

バカじゃねえのと思いながら、パンやヨーグルトなどを急いでほおばり、体をガクガクさせながら、「さあ、行くぞ~!」とヘナチョコな感じで気合いを入れて、そそくさと車へ乗り込んだのだった。

ちなみに、ここで車はワゴンから四駆のランクルへチェンジとなった。

その理由は、国境の先に広がる光景、つまりボリビアの大地を見れば明らかだった。

そこには、ちゃんとした道が走っていないかった。

あるのは、車輪の轍がうっすらと浮かぶ3メートル幅ほどの未舗装の薄い溝のようなものだけだった。

その薄い溝は、周囲よりほんの少し淡い色をしているように見えたが、褐色でゴツゴツしていることに違いは無く、仮にそれが「道」であるとしても、道の部分と道じゃない部分の境界がはっきりわからないような、そんな冴えないボンヤリとした3メートル幅だった。

南米に入って早1ヶ月。

これまで旅してきた、ブラジル、アルゼンチン、チリの3ヶ国が南米の中でも比較的裕福な国であることはわかっていたし、ボリビアが南米の中で一番貧しい国だということも頭ではわかっていたのだが、ここまであからさまな違いをいきなり見せつけられてしまうと、苦笑するより他なかった。

さっきまで普通のアスファルトの道が続いていたのに、あの小屋のようなショボい国境を越えた途端に、トンボで引いたような薄い溝しか走っていない世界へと変わってしまったのだ。すごい豹変ぶりだ。

その景色を眺めながら、「新しい世界に突入したんだな」とそう思った。

標高が高い所に来てしまったからかもしれないが、体中の血液がザワザワと音を立てながら血管の中を勢いよく流れ始めたような気がしたし、体全体が抑えきれないぐらいワクワクし始めているような気もした。

とにかく苦笑しながら興奮していた。

僕らを乗せたランクルは、路面の凹凸をサスペンションで吸収しながら、砂煙をあげて、そんな新しい世界へ向かって突き進んでいったのだった。

走り始めてしばらくすると、ランクルはラグーナ・ベルデというエメラルドグリーンの色をしたカルデラ湖にたどりついた。

時間帯、光の加減によって湖面の色を微妙に変えると言われているこの緑の湖。一説では、世界の絶景なんちゃらにも選ばれている有名な湖らしい。

残念ながら滞在時間は10分ほどしかなかったため、その色の変化についてはよくわからなかったのだが、しかし湖面がとても神秘的な色をしていることはよくわかった。そして美しい湖だな、と純粋にそう思った。

が、僕はこの湖を見て、その湖面に映りこむ空のほうに目がいってしまった。

これまで意識して見てなかったので気づかなかったが、あきらかに空の色は変化していた。先ほどよりも圧倒的に青みを増し、太陽がものすごく近い距離から降り注いでいるように感じられた。

実際ここは標高4,500メートルをゆうに越えてるらしいので、そう感じるのも当然なのかもしれない。

さっきまでグッタリしていたマサも車から出て、湖畔を元気そうに散策している。僕と同じように、体中からワクワクした気持ちがあふれ始めたのだろうか。

寒いにもかかわらず、日差しは痛く、紫外線も強烈に感じられたが、それは決して不快ではなかった。

むしろ素晴らしい気分だった。酸素は薄いはずだが、とても濃い空気が漂っているようにも感じられた。

これ以上ないぐらいの青さを誇るボリビアの空は、太陽の日差しをあびてエメラルドグリーンに照り輝くラグーナ・ベルデの湖面とともに、その空間を不思議な統一感で満たしていた。

(・・・次回へ続く)



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