2008年6月25日 の出来事 |
10キロコース -クスコ→マチュピチュ-
「もうやだ、こんな道・・・」
ガタガタと揺れ動くコレクティーボの車内に、嫁のボヤキ声が悲しく響き渡る。
今日は早起きだったため、クスコからここまでの5時間ほどの移動の間、僕も終始ウトウト状態で過ごしてきたのだが、ここにきてその睡魔もどこかへ吹き飛んでしまった。
これまで何度か経験してきたとはいえ、やはりこんな危なっかしい道はあまり通りたくないものだ。
しかしドライバーはそんな僕らの不安を全く無視するかのように、グネグネと続く断崖絶壁の道を、慣れたハンドルさばきでスイスイビュンビュン進んでいったのだった。
前にも書いたが、マチュピチュへは列車に乗って向かうのが一般的だ。
クスコの町から、マチュピチュの麓の村アグアスカリエンテス(別名:マチュピチュ村)まで列車が走っており、だいたいの観光客がそれを利用している。アグアスカリエンテスへ向かう公共交通機関がこの列車しかないため、消去法的にそれを選んでいる人も多いかもしれない。
・・・が、その列車について、僕らはどうしても納得がいかない点があった。
それは列車の運賃があまりに高すぎることだ。
なんと、片道で150ソル(約6,000円)近くもするのだ!
こないだプーノからクスコに移動する際に乗った夜行バスですら30ソルだったというのに、この列車はわずか3時間強の移動にもかかわらず、その5倍もの値段をふんだくっているのである。
バスよりも列車のほうが値段が高いというのはわかるが、しかし5倍っていうのはもう旅行者の足元を見てるとしか思えない。カップラーメンを800円で販売してる富士山の売店並みの料金設定だ。
しかも一番安いクラスが150ソルなのであって、一番高いクラスは1,000ソル以上。もうタメ息がでてきそうなぐらいの値段だ。
ちなみに、その最安クラスの名前は「バックパッカークラス」。このネーミングも何だか気に食わない・・・。
そんなわけで、僕らは「列車には乗らない!」ということに決めたのだった。
でもマチュピチュには行きたいので、別の方法・ルートで向かうことにした。僕らが採用したのは「徒歩10キロコース」ってやつ。
クスコからいくつかの村を経由して車を何回か乗り継ぎ、最後は10キロほど歩いてアグアスカリエンテスを目指すという方法で、全部で10時間ぐらいはかかるけど、それだと片道50ソル以下で行くことができるのだ(他のコースについてはこちらを参照)。
まあバックパッカーの間では、バックパッカークラスよりも、むしろこっちのほうが王道みたいだし。
ということで、その「徒歩10キロコース」の最初の経由地であるサンタマリアの村でコレクティーボに乗り換えた僕らは、次なる経由地サンタテレサの村を目指して、この断崖絶壁な道を進んでいたのでありました。

断崖絶壁を抜けてたどりついたサンタテレサの村は、名前が似てるだけあって、サンタマリアと同じく特にこれといって何にもない寂しい田舎の村落だった。「日本昔ばなし」に出てきそうな、そんな村だった。
ここで再び乗り換え。
コレクティーボが停車した場所のすぐ近くに停まっていた乗り合いタクシーみたいなやつにドタバタと乗り込むと、そのタクシーは「待ってました!」とばかりにエンジン音を響かせ、次なる経由地、水力発電所駅へ向けて勢いよくガタガタ道を突き進んでいったのだった。

水力発電所駅は、その名の通り水力発電所の近くにある駅だ。
当然駅なので列車も走っている。
というか、クスコから出ている列車の終着点がこの水力発電所駅なのだそうだ。だから、水力発電所駅からクスコ方面へ戻る感じで進んでいくと、マチュピチュの麓の村アグアスカリエンテスへたどりつくことができるというわけだ。
ちなみに「10キロコース」と言っているのは、この水力発電所駅からアグアスカリエンテスまでの距離が10キロなためである。
僕らを乗せた車は、サンタテレサを出発して30分ほどで水力発電所駅へと到着した。
さてさて・・・。
ここからが正念場だ。ここから先10キロのレールの上を、列車に乗ってではなく徒歩で進んでいかなくてはならない。
まあでも、たかが10キロ。
東京駅から北千住までがだいたい10キロぐらいだから、松尾芭蕉だったら朝出発してお昼前には到着し一句詠めてしまいそうなぐらいの距離だ。
しかしすでにこの時点ですでにグッタリ気味な我々夫婦・・・。この状態で果たして10キロも歩いていけるのだろうか。
とりあえず駅前の屋台的なお店で昼飯を食べて、グッタリ気味な状態をヨレヨレ気味な状態ぐらいまで回復させ、気合いを入れて前へ前へ進んでいったのだった。

そこからレールの上をひたすら歩いて行った。
途中の詳細は割愛するけど、「線路は続くよどこまでも~♪」を歌ったり、汽笛をならしながら近づいてくる列車をよけるため草むらに身を隠したり、川にかかる鉄道橋をおそるおそる渡ったりと、何となくスタンドバイミー的な気分を味わうことができて、まあまあ楽しく歩み進んでいくことができた。
レールは石がゴロゴロしていて結構歩きにくくって、かなり疲れたことには違いないけどね・・・。

というわけで3時間ほど歩き続け、空が暗くなってきた夕方6時頃にようやくアグアスカリエンテスの村に到着したのだった。
で、適当に宿を見つけ、適当に夕食。
明日のマチュピチュ観光に向け、夜9時頃には疲れた体をベッドに沈め、深い眠りの世界へ突入していったのだった。
ちなみにアグアスカリエンテスというのは、スペイン語で「熱い水」の意味。下の写真の雰囲気からもわかるとおり、温泉街だ。
しかし、温泉街ってどうして一目見て何となく温泉街とわかってしまうのだろうか。ちょっと不思議だ。
でも温泉街のくせに、泊った宿のシャワーの温度調節が難しくって、すごくヌルいお湯しか浴びれなかったのもまた不思議だった・・・。

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