2008年6月29日 の出来事 |
神聖なるピューマ -クスコ→リマ-
インカ帝国ではピューマは神聖な動物とされてきた。
天上はコンドル、地下は蛇、そして地上はピューマによって守られる、と考えられてきたそうだ。まさにピューマはインカを象徴する動物のひとつなのであった。
このクスコの町は、そんなピューマをかたどって建造されたと言われている。
サクサイワマンの要塞がピューマの頭部で、アルマス広場は心臓、太陽の神殿が子宮にあたるのだそうだ。
スペイン占領後に改修されてしまったせいか、どんな風に見たらこの町がピューマに見えるのか僕にはハッキリと理解できなかったが、まあともあれ、この神々しい雰囲気漂うクスコの町に、そのピューマの逸話はピッタリなエピソードだなと思った。

そんなピューマの町クスコでの滞在も今日でラスト。
なんだかんだで1週間以上滞在していたので離れるのがちょっと名残惜しいけど、しかし先を急がねばならない。まだまだこの先には、エクアドルやら中米やら北米やらが控えているのだ。
宿でNHKを見たりしながら昼過ぎまで時間つぶした後、久しぶりに重いバックパックをよっこいしょと背負って、町はずれのバスターミナルへと向かったのだった。

さすがに観光地クスコなだけあって、ターミナル内にはバス会社の窓口がいくつも並んでいた。ここからは、ペルー各地の色んな町へ長距離バスが出ているようだ。
しかし、そんないくつも並ぶ窓口の中でも、一際僕らの目をひいた窓口があった。
なんとその窓口の看板には、あの地上神ピューマが描かれていたのだ!
というか、バス自体に「ピューマ」という文字とその躍動感あふれる勇ましい姿がありありと描き出されていたのだった。
その姿がクスコの町とダブったせいか、なんとなくどこかで見たことがあるような気もしたが、まあとにかくその神聖なバスにぜひとも乗ってみたいと思ったのはたしかだった。ちょっと速そうだし。
すでに昨日のうちに購入していた別の会社のバスチケットをキャンセルしてでもそれに乗りたいと思ったのだが、確認したところ、そのピューマのバスはリマへは向かわないとのこと。
うーん、残念、無念。。

ピューマの描かれていないCIVA社バスは、定刻を40分ほど遅れてリマへ向け出発した。
2階席の最前列を予約したおかげで目の前は見事なパノラマビューだった。足も普通に伸ばせるし、なかなか良い席だ。
この席からだったら、もしかするとナスカの地上絵を少し目撃することができるかもしれない。
まあ仮に目撃できたとしても、何の絵なのかさっぱりわからないだろうけどね・・・。
ちなみにこのバスが走る、クスコ~ナスカ~リマの区間は、世界有数の「車内盗難率」を誇るルートだと言われている。
寝てる間やちょっと席を外した隙に貴重品を盗まれてしまったという旅行者は数知れず。盗人たちはあの手この手を駆使して、乗客の大事な荷物をこっそり盗みだすのだそうだ。
荷台の上に荷物を載せるのを手伝ってくれた人が実は盗人だった(載せながら盗んでいた)とか、足元にカバンを置いて寝てたら朝起きた時にカバンの底が切り裂かれて貴重品が抜かれていたとか、休憩所での停車中に盗人が車内に忍び込んできて荷物を盗んで走り去っていった、などなど・・・。
まあ色んなウワサを聞いていたので、僕らもいつにも増して気を引き締め、ちょっと緊張気味な感じでこのバスに乗り込んだのだった。

しかしリマ到着は明日の昼過ぎとのことで、要するに20時間以上の移動となるわけで、いつの間にかその気合いもトーンダウン・・・。
夕暮れ時にさしかかる頃にはすでに、炭酸の抜けたジンジャーエールのごとく、ヘソのゴマをほじくったりしながら、いつものように気合いの抜けた面持ちで目の前に広がるペルーの大地をボンヤリと眺めていたのだった。
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