2008年7月15日 の出来事 |
ヒゲとボタン -マイアミ→メキシコシティ-
メキシコの入国手続きは意外なほどにあっさりしていた。
つい先日エクアドルからアメリカへ渡った際は、ものすごくイミグレ手続きに時間がかかってグッタリくたびれてしまったが、それに比べると今回は超楽勝だった。
ツーリストカードに適当に名前などを記載してパスポートと一緒にイミグレに提示すると、5秒ぐらいですぐにスタンプを押してくれた。行列は長かったとはいえ、並び始めてわずか10分足らずで簡単に入国手続き完了!
やっぱりこういうのはサクサクやってくれると嬉しいもんです。早速、僕らがメキシコに好印象を抱いたことは言うまでもありません。

ちなみにその後、税関審査も当然のように行われたんだけど、これが他の国とはちょっと変わってて、なかなか興味深かった。
税関審査といえば、だいたいどこの国でも超テキトーだ。
ブシュッと空気をかけられたりするイスラエルや、動植物類の厳重な持ち込みチェックがあるチリみたいな国は本当に例外的で(あと日本も)、どこの国も税関職員というのは、ほとんどが超やっつけ的に仕事をこなしている。
彼らの大半が、3分に1回ぐらいは口を大きく開けてアクビしており、5分に1回ぐらいは鼻クソほじったり、チンポジなおしたりしている。
それで10分に1回ぐらい、入国者のうちの1人に気まぐれ的に声をかけ、その人の荷物を乱暴にひっくり返して中身をチェックするのだ。
そんなわけで、自分がチェック対象になってしまった場合、純粋に「時間がとられてイヤだ」とか「あとから荷物を整理しなおすのが面倒くさい」とかいう思いに駆られるだけではなく、「こんなテキトーな連中に選ばれてしまったなんて・・・」という屈辱感のようなものまで抱かなければならないので、まあ精神衛生上とてもよろしくないわけであります。
それに比べて、ここメキシコの税関。
ここには「テキトー」とか「気まぐれ」とかいう要素を一切廃した、超合理的装置が備え付けられていた。
その装置というのは、1個の押しボタン。
税関のところに、選択の余地のない1個だけの押しボタンが設置されていて、そのボタンを押したときに点灯するランプの色によって、チェック対象者となるどうかが判別される仕組みとなっていたのだ。
青ランプがつけばスルー、赤ランプがつけば荷物検査。
何分の一の確率で赤になるのかは不明だけど、完全無欠のランダムチョイスであることは間違いないだろうと思う。
まさに、ザ・運!
これだったら屈辱感とかは味わうことが無いので、精神衛生上、たいへん素晴らしいんじゃないかと思います。
だけど、効果音とか無かったのがちょっと残念だった。。
実際、我々夫婦二人とも青ランプだったこともあって、ボタンを押す行為に何の意味があったのかサッパリわからないままに、何の感慨も無くそこを通り過ぎてしまったのだ。うーん・・・。
例えば青の場合は「コングラッチュレ~ション!」みたいな陽気な音がファンファーレとともに鳴り響き、赤の場合は「ダラダラダラダラダラダラダラダラ、ダーラ」みたいな悲壮感あふれる音が、ウーファーの効いた重低音で流されてもいいような気がするんだけどねえ。
あっ、でもそれだとこれまた精神衛生上よろしくないので、赤は「ズコーッ」ぐらいでいいかもしれないですね。
まあどうでもいいけど、とりあえずメキシコ入国!

まだここの都市名を書いてなかったけど、ここはどこかと申しますと、メキシコの首都にして中南米の経済の中心、人口850万人を誇る超巨大都市、メキシコシティであります。
スペイン語で言うと、Ciudad de Mexico(シウダ・デ・メヒコ)だ。
ていうか、メキシコはスペイン語が公用語なのでこれが正式名称。メキシコではなくメヒコ、シティではなくシウダ。
英語とスペイン語は少し似てるけど、やっぱり違うのだ。そしてスペイン語圏の人はだいたい英語がわからない。
だから、メキシコの道端で「メキシコシティ!」とか言っても、おそらく誰も相手をしてくれないことだろうと思う。中国人がいくら「トンチン、トンチン!」と口角泡を飛ばしながら叫んでも、それを日本人が「東京」のことだと理解できないのと同じように。
さてさて、そんなわけでメキシコシティ。
とりあえず、この町に関して大した情報を持ち合わせていない僕らは、空港から地下鉄に乗りこみ、日本人バックパッカーが数多く集まっているという日本人宿へと向かったのだった。
その宿の名は「ペンション・アミーゴ」。
なかなかキャッチーで覚えやすい名前だ。
南米の日本人宿は、治安を考慮して、けっこうヒッソリとした地味なたたずまいをしていることが多かったので、今回も無事にたどりつけるか若干不安だったんだけど、この宿についてはそんな心配は全くの杞憂だった。
路上に面した門に書かれた、明快な文字とペイントが、僕らをスムーズにその宿へと導いてくれたのだった。

想像どおり、ペンション・アミーゴはかなり快適そうだった。
共有スペースも広く、日本語の本も大量に置いてあり、キッチンもかなり充実している。日本人旅行者もたくさん滞在しており、昼から楽しそうに酒を飲んだり、ゆったりマンガを読んだり、ジャラジャラと麻雀やったりしていた。
さすがは、中米有数の老舗日本人宿。
この宿を題材にした本も出版されているそうだが、その理由もなんとなくわかるような気がした。
宿泊客も気さくな人が多そうだし、しばらく楽しく過ごせそうだ。

部屋に荷物を置いて少しゆっくりしてたら、いつの間にか陽が暮れてきたので、真っ暗になる前に飯を食べにいくことにした。
マイアミではまともな飯が食えなかったし、これが中米1発目の食事ということもあって、かなり気合を入れて外へ出たのだが、すぐに美味しそうな屋台を見つけてしまった。
というか、宿の近くに屋台がたくさん並んでて、どの店も一様に美味しそうに見えたので、その中でも一番たくさん客がいる屋台に乗り込んだのだった。
もちろんあれを食べましたよ、あれ。
そう、タコス!!
いかにもサボテンの生えた荒野でマラカスをシャカシャカと鳴らしていそうなヒゲオヤジがタコスを作ってくれたんだけど、もうそれがビックリするぐらいに美味しかった。
トウモロコシの生地と肉や野菜、ライムの汁にスパイシーなサルサ、そういったものがすべてうまい具合に調和していて、口の中いっぱいに幸せを運んでくれたのだった。
今までタコスに対して特別な感情を抱いたこともなかったし、食べたこと自体あまりなかったけど、ヒゲオヤジが作るとこんなにも美味しいタコスになるなんて全然知らなかった。いやあ、ブラボー。
その後、別のヒゲオヤジの屋台にもハシゴしたんだけど、そこもすごく美味しかったので、どうやらメキシコのヒゲに間違いはないようだ。
というわけで中米の旅、なかなか好調な滑り出しです。

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